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さ「なーぁ、A」
いつもより元気のないその声が、二人の間の緊張感をさらに強めて、気を緩めさせようとはしてくれない。
なんとなく、坂田の顔が見れなくて下を向きながら、どーしたの？と聞くと、隣から足音がなくなった
気になって、視線を下から後ろへ移動させれば、少し苦しそうに無理矢理笑ってみせたような顔が目にはいって、心がぎゅぅぅっと締め付けられる。
さ「俺ってそんな頼りない？」
『…ぇ？』
さ「俺が１番Aのことわかってて、近くで見てきたのに、そんなに頼りならん？」
『ど、どうしたの、坂田』
ぎゅっと拳を握って、苦しそうにそう呟く坂田の頬には、ツーっと一粒の涙が伝っていくのが、目に見えた。
坂田が頼りないわけじゃない。
でも、いつでも太陽みたいな坂田に相談するのに躊躇してしまっていて。
キラキラと輝く坂田の隣では、私も弱いところを見せたくない。と心のどこかで思っていた。
さ「もっと、俺のこと頼って？1番に考えて。
うらさんになんて…負けたくない」
『…ごめん。』
坂田の近くにいき、少し背伸びをして頭を撫でれば、紅茶色の髪が指の間をサラリと抜けていく。
いつも堂々として大きな存在の坂田も今は、まるで小さな雪の粒のように触れたらすぐに消えてしまいそうだった。
スルリと頬に手を添えると、驚いたように目を見開く坂田。
『今度からは坂田に頼るから。…だから、泣かないで？』
さ「…ｯ」
ね？と柔らかく微笑んでそう言えば、コクっと頷いた彼の涙を親指で拭う。
『帰ろっか！みて、夕日がもうしずみかけ…ｯ!』
突然ぐいっと引かれた腕に、ふわりと重なる唇。
漂ってくる坂田の匂いが、頭をさらに混乱させる
『ぇ…あ、さ…かた？』
まだ、ほんのりと感触が残っていて、顔に集中した熱は収まらない。
さ「あんま可愛いことせんといて…。」
『ぇ、ご、ごめん…。』
さ「ま、まぁ、今のは、幼馴染の触れ合いってことで!!
ほら帰ろ！おばさん心配するやろ！」
『うん』
ドクドクと高鳴る鼓動は、頭の回転を遅くして、まだしっかりと状況が把握できない。
ただ、分かるのは坂田とキスをしたってことだけ。
よく分からないまま、先に歩き出した坂田の後を、小走りで追いかけた。
「ふぅーん。あいつも大胆なことするもんやなぁ」
誰かがみていたなんてしらずに。
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タシア松(プロフ) - ぽにょさん» ありがとうございます！！最高の褒め言葉です、 (2022年9月25日 20時) (
レス) id: d89a5c0024 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょ - 1話1話見るごとにきゅんきゅんしてもう最高です_:(´ཀ`」 ∠): (2022年8月8日 18時) (レス) @page14 id: b0029b04cd (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます！すごい嬉しいです！！！ありがとうございます！！この作品を好きだと感じてもらえることができてよかったです！ (2021年10月26日 6時) (レス) id: 63758ca099 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - な、な、な、なんだこの……神作者と神作品は！？ (2021年10月26日 2時) (携帯から) (レス) id: d13b409c87 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - 乘肄さん» 最高のお言葉ありがとうございます!! 完璧にかけたのなら幸いです、これからも日々成長していけるよう頑張りますので、よろしくお願いします (2020年5月19日 22時) (レス) id: 73485a3048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タシア松 | 作成日時：2020年1月12日 23時
