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『ずるいですよ…、センラさん』
小さくそう呟いたけど、電話越しだからか聞こえなかったらしい。いいよ、今のは聞かなくて。
ただ本当にズルい。こういうふうに相手にドキドキさせるのが得意なんだろう。
センラさんにひとつ、確認したいことがあった。
これだけは絶対に。
『…さっきなにしてましたか』
分かってるよ、こんなこと聞いて彼が返答に困ることも普通は聞いちゃいけないことだってことも。でも、どうしても気になってしまう。本当にあの時そういう行為をしてたのかが。
セ「なにって…特に何もしてへんよ」
『ですよね』
そう答えることは十分承知の上だった。
だって、私がもし同じ立場だったとしても同じ答え言うもん。それしか選択肢がないから。
そもそも誰かに伝えることでもない。
当たり前のことなのに、秘密にされたことに苦しくて胸がきゅぅぅっとなった。
パッと手からスマホが無くなって、気づくとスマホは坂田さんの手元にある。
さ「Aちゃん困らせて楽しい?」
さ「センラのそういうとこホンマ嫌いやわ。今すぐ、○△公園こいや」
ぶちっと無理矢理切られた通話。そして、玄関に向かってあるき出した。
いつものキラキラオーラとは正反対の黒いオーラを放っている彼。
瞳はギラリと光っていて、例えるならば、獲物を捉えた狼のような目をしていた。
し「坂田、抑えろって」
さ「黙って。まーしぃには関係ない」
私には何も言うことができない。
ただ何が起きているのか分からなくて、空気だけが口から出ていった。
し「Aちゃん、うらたさん呼んできて」
『…は、はい!』
お風呂に入っているわたるを呼びに洗面台へと行って扉を叩いた。
恥ずかしさなんて今は関係ない。坂田さんを抑えないと。じゃないと、センラさんと坂田さんが喧嘩しちゃう。
『わ、わたる!!坂田さんが…!』
う「Aちゃん…!?…ど、どうした?」
『坂田さんが…喧嘩しに行っちゃった』
う「まじかよ、なにしてんだよ坂田。」
ザバァというお湯からあがる音が聞こえて、彼があがってくる前に洗面台から出る。
数分後、少し濡れた髪で出てきた彼は、私の手を掴んで走り出した
う「どこ」
『○△公園です』
あまりにも速い走る速さに足がついていかなくて、何度も躓きそうになる。
わたるは、そんなのも気づかないほど必死に走っていた
どうか、間に合いますように。
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タシア松(プロフ) - 紫苑さん» こちらにもコメントしていただいてホントに感謝しかないです、、。ゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします (2021年10月26日 6時) (レス) id: 63758ca099 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - ドソキでツボっちゃいましたWとても面白かったです!これからも面白い作品待ってます! (2021年10月26日 1時) (携帯から) (レス) id: d13b409c87 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - ちょこまみれさん» ありがとうございます! (2021年1月24日 13時) (レス) id: 2434cd9a85 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこまみれ(プロフ) - 素敵です (2021年1月24日 13時) (レス) id: 53f0e78d36 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - さとうさんさん» ハラハラできるようにかけていたなら良かったです…。少し自信がなかったので、。嬉しい褒め言葉本当にありがとうございます!これからも日々成長していけるよう頑張りますので、よろしくお願いします!! (2020年3月29日 12時) (レス) id: 73485a3048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タシア松 | 作成日時:2019年12月21日 19時