大海原 ページ20
Z020年11月、最初の月曜日。文化祭まであと約3週間。僕ー伊達凉馬ーは図書室で青葉と一緒に文化祭の準備をしていた。
「吹奏楽部のステージ、この時間はキツイと思う。1時間欲しいってことになってるけど、入れ変えの時間がかかるだろうし」
「だよね、僕も思った。ショージに言ってみるよ」
ステージの時間合わせに四苦八苦していると、
「失礼します」
と言ってドアが開けられた。そこにいたのは、背筋がしゃきっとした、いかにも「優等生」って感じの男子だった。
「1年6組、海洋学部の瀬戸航平です、伊達凉馬さんと青葉真帆さんはいらっしゃいますか」
「はい」
席を立ち、瀬戸航平と名乗ったその1年生のもとへ向かう。
「はい、何でしょうか」
「あの、星が丘学園中学の文化祭についてなんですが」
「はい」
「僕たち海洋学部も参加させていただきたいと思い、ここへ参りました」
「なるほど、分かった。書類を書いて僕らに提出してくれれば、あとは僕らで星が丘との手続きをしておくから、これ書いて。言うほどややこしくもないから」
「はい、ありがとうございます。では、失礼しました」
「それにしても、さっきの子、すごくハキハキしてたね」
瀬戸くんが去っていって少し経った頃、真帆が言った。
「うん、『快活』とか『明瞭』って言葉が似合うような子だと思った。頼れる長男って感じなのかな、家では」
「うん、そんな気がする」
後日、海洋学部の書類を受け取り、僕らはショージのいる星が丘学園へそれを届けに行った。
「…すごくしっかりしてそうな子だったよ」
「へー、会ってみたいな」
書類を渡した後の話題は、瀬戸くんの話で持ちきりだった。
「文化祭の日、海洋学部の所へ行くといいよ」
「ああ、そうだな。じゃあ俺、掃除があるから。わざわざありがとう」
「いいよいいよ、じゃあね」
「またな」
星が丘の正門を抜けて真帆と別れた。空を見上げると、外は少し暗くなっていた。日がだいぶ短くなってきたなあ。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年9月4日 20時