僕らの世界 (ページ2)

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あいつは凄いやつだページ2

俺ー進藤海斗ーのライバルは、凄いやつ。そいつの名前は、東海林隼(しょうじはやて)。俺にはないものを、全部持ってる。俺にはできないことも、難なくこなす。俺はもう、あいつには敵わない。

俺とあいつは、小学5年の春に出会った。俺が転校してきた学校のクラスメートだった。席が名前の順だったから、俺の前に東海林がいた。
東海林と俺は、いいライバルだった。テストの点数、50mクロール、給食早食い、サッカー、ありとあらゆる場面で対決した。勝率は五分五分だった。

けど俺は、疲れてきた。わざわざ張り合う必要性はないと思い始めた。
そういうのいいから。暑苦しい。
6年の夏、東海林にそう言った。俺はその日から3ヶ月、学校を休んだ。疲れるなら、対決しなければいい。対決したくないなら、東海林に会わなければいい。そう思って。
9月になり、学校に行かず、まともに勉強しない俺に親は中学受験を勧めてきた。そうすれば嫌でも勉強しないといけなくなるから。
俺は、東海林と離れられると思って必死に勉強した。
無事合格し、Z019年春、星が丘中に入学した。
しかしそこに、東海林がいた。クラスは違うが、廊下ですれ違った。話しかけられたが、気付かないふりをして素通りした。

あれから1年5ヶ月。2年生になり、9月になった。今も、気まずさは消えない。ずっとこのままというのも疲れるだろうから、どうにかしたい。しかしどうすればいいのか分からない。
だから俺は、
あいつは凄いやつ。俺より凄いやつと仲良くしてるだろう。
そう、勝手に思うしかなかった。