流浪人会の秘密・1 ページ43
「さてさて、今日はね…」
翌週の金曜日。文芸同好会と流浪人会は図書室に集まり、テーブルを囲んでワイワイ話していた。
私ー青葉真帆ーは、雑談を一旦ストップして、本題にハンドルを切った。
「流浪人会の歴史と、星が丘との交流について教えてほしいの」
「歴史と、星が丘との交流?」
流浪人会の4人は、首をかしげてユニゾンした。それを見た私と凉馬は思わず噴き出した。
「僕らは、生徒会選挙で流浪人会に協力してもらうわけだからさ、流浪人会についてちゃんと知っておこうと思って」
「そういうことか。ならお安いご用だ」
ヘイちゃんが言うと、他の3人も頷いた。
「じゃあまずは、流浪人会結成の歴史を、ざっくりでいいから教えてください」
「じゃあここは僕が」
松平くんが挙手した。
「流浪人会は、僕らの先輩が基礎を創って、僕らが『流浪人会』にした」
「先輩?詳しく聞かせて」
私はちょっと身を乗り出して言った。
「僕らの先輩は、3人いた。みんな僕らの2つ上で、市原先輩、神河先輩、それと青葉先輩」
「え、青葉?」
凉馬は私の方を見てきた。
「そう、青葉恭輔先輩」
「え、恭輔?!」
私は驚いて、大きな声を出してしまった。どこかから、白い目で見られた気がした。
「え、青葉先輩のこと知ってるの?」
「知ってるも何も、いとこだよ」
「え?!」
恭輔は、私に対して必要以上につっかかってくる、面倒くさいタイプのいとこだ。小学生の頃はサッカー、高校1年生になった今は陸上をやっているけど、中学の時は流浪人だったということは、今の今まで知らなかった。
「それで、その先輩たちが2年生の時、『部活をやるつもりはないけど、帰宅部にはなりたくない人のためのクラブ』を創ったんだ。で、そこに所属する人は『流浪人』と呼ばれた」
「流浪人会の由来はそこなの?」
「そう。でも、そんなのダメだって先生に言われて、3か月で潰れた」
「ありゃ…」
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年12月18日 22時