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報告 ページ42

「へー、海斗が?」
「すげえな、海斗」
海斗は、にやりと笑って俺ー東海林隼ーの方を見た。俺は、
「ごめん、海斗。本当は俺が助けなきゃいけない側なのに」
と、山盛りのポテトを食べる海斗に謝った。海斗は、別にいいよとポテトを3本食いしながら言った。
今日は、いつものファミレスで結果報告会をしている。ちなみに星が丘の流浪人会とBLUE LEMONは無事に和解し、生徒会選挙の支援をしてもらい、部室のロッカーの一部を貸すことになった。海斗については、保留ということになっている。
「渚学園はどうなんだ?上手くいった?」
「私たちは、とりあえず協力してもらえることになった。来週の金曜日にもう1回集まってもらって、流浪人会のこと詳しく聞くつもり」
「おー、もうそこまで進んでんのか」
「凉馬の『本の運搬手伝って』で呼び出す作戦がよかったからかな」
「そう?それほどでもあるなー」
「あるんかい」
俺は、海斗のポテトを横からつまみながら笑った。それに気付いた海斗は、「お金足りなかったら、ショージからお金借りるから」と、ちゃっかり約束を取り付けた。食べ物のことに関しては、本当に抜け目のない奴だ。

「あ、そうだ。私、生徒会選挙で何を掲げるかちょっと考えてみたんだけど」
真帆は、思い出したように言った。
「渚学園高等部は、制服の自由化が進んでる。でも中等部は自由化されてない。だから制服の自由化を掲げようと思うの」
おぉー、と声が上がる。
「具体的には?」
「制服に好きなアイテムを取り入れて、自分を表現していいとか、通学カバンの自由化とか」
「なるほど。先生からの評価は不安だけど、生徒からは確実に期待されるだろうね」
凉馬は、選挙ではライバルになるにも関わらず、期待されると絶賛している。
「こういうのは、真帆がやるからいいんだよな、やっぱ」
「え?どういうこと?」
俺はポテトを食べるのを中断して解説を始める。
「運動部男子がやるべき生徒会長を、文化部女子がやることによって自由化が進む。自由の相乗効果みたいな」
「確かに。それは言えてる」
海斗も口を挟む。
ふと時計を見ると、3時少し前だった。今日は4時からサッカーなので、そろそろ帰らないと遅れるかもしれない。
「ごめん、俺サッカーだから帰るわ。報告することがあったら、今日の8時以降、電話で教えて」
早口に言ってから、財布から100円玉を出して海斗の皿の近くに置いた。
「これ、ポテト代ね。ごちそーさん」
荷物をまとめてそそくさと店を出た。
外は、乾燥した冷たい風が吹きつけていた。俺ははやての如く(ダジャレ)風を切って走り、駅へ向かった。

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作品ジャンル:純文学
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年12月18日 22時

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