黒船来航?!・2 ページ41
「…僕らは、部室は欲しいと思ってる。でも、根こそぎ取るつもりはない。どうか分かってほしい」
山本が言った。でも俺は5人を睨み続けた。海斗が「落ち着け」と目で訴えていたけど、それでも睨み続けた。
「ショージ、一旦落ち着いて?」
海斗はついに声に出して言った。でも、そういうわけにいかない。流浪人会への疑いは晴れない。
「…部室のことは保留にして、海斗のことは?BLUE LEMONから引き抜いて完全にそっちのもんにするのか?」
「俺のことはいいから、」
「海斗、自分がどうなってもいいのか?」
「よくないけど、落ち着いて?もっと冷静に考えて」
「いや、俺は冷静に考えてるつもりだ」
「…」
海斗は、そこまで言って黙った。俺の出方を窺ってるのか、言葉を考えているのかはよく分からない。ただ、見開いた目を俺から逸らさない。
「…本当に、落ち着いて?俺は大丈夫だから、自分の心配して?ショージ、今日何か変だよ?」
「そんなことない」
俺はつい口を挟んだ。
海斗はいつになく真剣な表情で、俺は一瞬怯んだ。
「いい加減にしろよ!そんな疑心暗鬼にならなくたっていいだろ!今日のショージ、本当に変だよ!」
俺は、夢から覚めたようにはっとした。俺が怯んだ隙を突いて、海斗が叫ぶように訴えた。
いい加減にしろよ、いい加減にしろよ、いい加減にしろよ…
海斗の言葉が脳内で繰り返される。
俺、海斗には敵わないな、と思った。
「…ごめん」
「俺じゃなくて、5人に」
「ごめんなさい、本当に」
「分かってくれればそれでいいです」
顔を上げると、小島姉妹が同じ表情で笑っていた。
「海斗、ありがと。
じゃあ改めて…」
海斗は、一度深く頷いた。流浪人会の5人も、表情が穏やかになっていた。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年12月18日 22時