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憧れの「兄貴」・1 ページ34

兄貴は、かっこいい。
小さい頃から憧れてきた。
ケンカでは負けなし、剣道が強くて、野球も近所では一番うまい。背が高くて、かっこよくて、頭がよくて、おまけに優しい。かっこいい人のお手本みたいだ。

僕ー山本広海ーは、兄貴の背中を追いかけて星が丘学園に入学した。1年に及ぶ受験勉強の末、晴れて合格した時は、嬉しさのあまり涙がこぼれた。
そんな僕を見て兄貴は、
「おい泣くなよ、カッコ悪いぞ。それに、ここはまだスタート地点だ」
と言ってくれた。本当にかっこいいよなあ。

兄貴は僕の2つ上の先輩で、剣道部に所属していた。その時兄貴は「県内最強」と呼ばれるほど強かった。そんな兄貴に憧れて、僕も剣道部に入ろうとした。けど兄貴は、
「ちょっと今の2年、ガラ悪いのいるぞ。広海、俺が引退した後大丈夫かよ」
と言ってきた。兄貴なりに心配してくれてたんだろうな。僕は首を縦には振れなかった。ケンカで負けなしの兄貴が「ガラ悪い」と言うということは、相当なんだろうな、と勝手に想像して、会ってもいないのに怯んで、結局入部しなかった。
でも運動はしたいと思い、たまたま廊下でポスターを見かけた「流浪人の集い」というのに入った。他の部活の助っ人として活動する団体だ。そこに入れば、兄貴のいる剣道部にも助っ人に行けるかもしれない、そう思った。
入ってみたら意外と楽しくて、色々な部活を転々としているのもあってか、友達も増えた。スポーツ万能で友達が多い兄貴みたいになれて、率直に嬉しかった。

しかし、その年の7月、事件は起こった。夏休みに入り、僕も兄貴も部活に明け暮れていた。その日はたまたま帰りが一緒になり、2人で帰ることにした。僕は卓球部の助っ人に行った話、兄貴は大会が明日に迫っているという話をした。
兄貴は結局僕を家の前まで送ってくれた。僕は女の子じゃないんだから、と恥ずかしがったけど、やっぱりちょっと嬉しいと思った。

そこまでは良かったんだ。

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設定タグ:青春 , 学園 , 友情   
作品ジャンル:純文学
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年12月18日 22時

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