僕らの世界2 (ページ25)

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理論と実践ページ25

「…確か青葉のクラスにいただろ。だからこう、自然に流浪人会についてのことを聞き出せないかな」
私ー青葉真帆ーは、凉馬のとんだ無茶ぶりにため息をついた。
「自然にって何よ。というか、情報を得るより先に流浪人会の人と親しくなる方が近道だと思うけど」
「つまり、理論より実践とな？」
「そ。よく知らない人より、ある程度親しみがある人の方が話しやすいんじゃないかな」
「なるほどな」
私たちは今、図書室で会議をしている。
先週のファミレス会議で「次のターゲットは、運動部と深い関わりがある流浪人」という話が出てから、運動部の人に流浪人について1週間聞き込み調査を続けた。その結果、最近流浪人は、流浪人同士で集まって「流浪人会」なる組織を立ち上げたことが判明。(私は、テニス部に所属しているクラスメートに『何？流浪人会に好きな人いるの？』と問いつめられた。災難だった。)
そして今、流浪人会についてもっとよく知り、親しくなるにはどうすべきかを話し合っている。しかし会議は難航中って感じ。
「僕が調べた情報によると、流浪人会は現在4人。全員2年生らしい。同学年だから問題なく話しかけられるだろうし、とりあえずアタックしてみる？」
「でも、どうやって？」
「いいんだ、深く考えなくて。話しかけてから考える。理論より実践だ」
凉馬は断言した。私は、やられた、とちょっと思った。
「じゃあ、4人一緒じゃなくて、1人ずつ話しかけてみたらどうかな。時間はかかってもそっちの方が自然だし、確実だと思う」
「ふり出しに戻るけど、青葉のクラスに流浪人会の人いるよな。青葉、今度話しかけてみてよ」
あれ、凉馬、1行目と同じようなこと言ってる。デジャヴ？
「…わかった。理論より実践、とにかく話しかけてみるよ」
…とまあ会議は終了した。「理論」はこのへんにして、「実践」してみよう！