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そして朝 ページ1

「おはよー」
俺ー進藤海斗ーは、校門の前に立っているショージに挨拶をした。それも俺の人生TOP10に入るくらい爽やかに。
「おはよー、あれ、海斗、今日はちゃんとしてる」
「まあな。俺が本気出せば朝飯前だから」
「うーん、そうか…
20分遅刻してるけどな」
「え?!」
俺は時計を見た。集合時間は7時30分。そして今は…
「7時50分?!」
俺は思わず目を見開いた。これは今年一番レベルの驚きだ。俺は、家を出たのが6時40分だと思っていた。しかし実際は7時40分だったらしい。「早めに行ってやることさっさと終わらせよう」とか考えてたのに。その時点で遅刻確定だったのか。こんなことあるかよ…
そして次に襲ってきたのは、やらかした!という感情。なぜなら今朝、家を出る前に、真帆に「先行ってるね」というメールを送っていたからだ。何で気付かなかったんだろう、うわー恥ずかしい!
「まあいいや。準備手伝ってよ」
「わかった」


午前9時。色々あったけど文化祭スタート。ちなみにその「色々」とは、真帆に「あんた何が言いたかったの?」的な目で見られたこととか、遅刻の代償としてショージにさんざんこき使われたこととか。災難だった。

スタートと同時にぞろぞろ人が入ってきて、ものの10分ほどでお客さんの数が50人を超えた。門の近くで出迎え要員として駆り出されている俺は、その盛況ぶりに驚いた。
「おー、今日めっちゃ人多い」
「日曜だからね」
同じく出迎え要員の凉馬とそんな話をしていると、そっくりな顔の兄弟がずらり。4人もいる。何事?
「あ、航平!」
兄弟の1人がそう言って、俺の隣にいた瀬戸くんを指差す。
「湊!」
「航平何してるのー?」
「お客さんの出迎えだよ」
どうやらこの4人は、瀬戸くんの弟と妹のようだ。
「瀬戸家は大家族なんだな」
「はい、今はいないけど他にも兄弟がいるんです」
「へー、すげえ」
きゃっきゃっとはしゃぐ弟と妹を、優しく見守る兄。THE・長男って感じだ。でも昨日、本人は「兄がいる」と言っていた。どんな人だろう…

辺りを見わたすと、他にも色々な家族や友達がいる。ばったり遭遇した友達、おじいさんおばあさんまで総出の一家、待ち合わせしていた姉妹、小さな子を連れた夫婦などなど、色んな人がいる。

こういうの、楽しい。

雲が遠ざかっていくような清々しい気持ちで2日目の朝を迎えた。

最後の日→



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作品ジャンル:純文学
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年12月18日 22時

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