前言撤回 ページ6
麻酔科医「バイタル、安定してます」
「了解。他に問題ありそうなとこ無いね？」
高「あぁ、大丈夫だ」
内視鏡を動かしてしっかりと確認していく。
北見先生は、あっという間に難易度の高いオペを成功させた。
しかも完璧に。
成功した事によって場の緊張感が少し緩んだ気がする。
みんな息を呑んで、瞬きすらも忘れるほど見つめて居たんだろう。
固まった身体を軽く動かしている。
「じゃあ世良くん」
世「はい」
「最後の縫合、やってみようか」
世「へ？」
執刀していた時とは別人のようにニコニコと笑いながら、北見先生は僕を見ている。
猫田さんに目線だけで合図を送ると場所を入れ替えるつもりなのか反対側に居る僕の方へ移動してきた。
世「最後の縫合って…」
「メス入れた皮膚の縫合。見ててあげるからやってみな？」
促されるまま、北見先生が退いて空いた執刀医の位置に移動した。
隣に立った猫田さんの手にはすでに針と糸が握られている。
てっきり、渡海先生のように後のことは丸投げされるのかと思っていたので、少し面食らってしまう。
「何度も言うけど、私は君の指導医になったからね。責任持って面倒見るよ。知識的なことから技術的なことまで」
まるで僕の心を読まれたかの様な言葉。
北見先生の隣に居る高階先生も穏やかな表情で無言のままだけれど頷いてくれた。
世「…分かりました。やります」
北見先生。
渡海先生と同じとか言ってすみません。
性格とか思考とかは似てても、指導医としての行動は全く違いますね。
雲泥の差です。
月とスッポンですよ。
勿論、月が北見先生で、スッポンが渡海先生。
悪魔とか言っちゃいましたけど、そんなこと全然無かったや。
「緊張しなくていいからね。先ずはリラックス。みんなも覚えておいて。手の力を一度抜いて、息を吸って。頭と身体をリセットすることは大事よ」
しかも他の研修医にまで声をかけてる。
今更ながら、此処にいつもより多く研修医が居ることに気づいた。
先生が指導するつもりで呼んでいたのかもしれない。
「私はね、腕のない医者が嫌い。でも、見込みのある研修医は好きよ」
あ、待って、嫌な予感。
北見先生が楽しそうに笑ってる。
「あなたはどうかしらね、世良くん？」
前言撤回。
やっぱり悪魔だ。
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霜月(プロフ) - ゆんすずさん» コメントありがとうございます！応援して頂けて非常に嬉しく思います。これからも頑張りますので、宜しくお願いします！ (2018年12月17日 23時) (
レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんすず(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いております！！更新大変ですが頑張ってください！！応援しています！ (2018年12月15日 1時) (レス) id: 67b7d75cd8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - snake20xjapan04さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！頑張って更新しますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
snake20xjapan04(プロフ) - めっちゃ面白い！です。これからも楽しみにしてます。 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b0aeedf16f (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 白兎さん» ご報告ありがとうございます。私もその作品を拝見したのですがあまりに似ていて驚きました。でも、どう対処するかまだ検討中なので…。暫くは様子を見ようかと思っております。 (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年7月13日 23時
