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仕方ないか ページ5


《Your side》



 「なんか、騒がしいな…」




征司郎が不在の仮眠室で担当患者のカルテを見ていた私は、ふと外からの騒がしい物音に顔を上げる。
耳を澄ますと、ガサゴソと何やら作業をしている音と誰かの声が聞こえてきた。

はて、一体何が起きているのか。

いつもとは少し違った騒がしさが気になる。
それに今日は、帝華大の人間がここへやってくる予定のはず。
案内役を世良くんが押し付けられていた。
まさか…医局にやって来たのか?

嫌な予感に後押しされて扉を開くと、そこにはやはり帝華大の医者たちが居た。
どういう訳かデスクの上にある書類やらなんやらを勝手にダンボールに詰めている。




 「これはどういうことかな」




誰に言うでもなく、ぼそっと呟く。
思わず帝華大の奴らに向けた視線が鋭くなるのは許してほしい。
仕方がないのだ。
どうしたって私は彼らと仲良くすることは出来ない。たとえ佐伯教授の命令だとしても。




世「あ、あの、北見先生」




私が仮眠室から出てきたことに気付いた世良くんがこちらへ駆け寄ってくる。
私の以前見せた帝華大に対する態度を気にしてか、気まずそうに目線を漂わせてこちらを見つめてきた。
背は彼の方が断然高いはずなのに、少し上目遣いになっているところが憎らしい。
このやろう。
世良くんが悪いわけでもないのに、そんなふうにされたら文句の一つも言えないじゃない。




 「ひとまず冷静になるからさ、事情を説明してくれると有り難いな」




私の言葉に少し安心したように表情を緩め、世良くんは事の詳細を手短に順を追って説明してくれる。




 「なるほど。つまり、合同チームの帝華大側もこの医局を使うことになってんのね」


世「はい。しかも、佐伯教授が自由に使う許可を出したらしくて」


 「それで誰も何も言い返せないと」


世「その通りです」




それは困ったね。
佐伯教授の言うことはここじゃ絶対だからな。





 「……仕方ないか」


世「やっぱり諦めるしか無いですよね」


 「いや、そういうことじゃなくて」




私の言葉にキョトンとする世良くん。
話の流れでいけば、帝華大に好き勝手されるのも仕方ないって意味にとれちゃうよね。
ごめんごめん。違うんだ。

実力行使も仕方ないって意味なのよ。

あの人の力を使って権力を振りかざすの好きじゃないんだけどさ。
この際だし、ちょっとくらいいいよね?

実力行使→←佐伯教授の言うことは



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霜月(プロフ) - 希央さん» お返事遅くなりましてすみません。コメントありがとうございます!本当にスローペースですが、頑張ります! (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 美里さん» お返事遅くなりましてすみません。ありがとうございます。これからも皆様に楽しんで頂けるよう頑張ります! (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 中原三日月さん» コメントありがとうございます。お返事遅くなりましてすみません。更新、頑張ります! (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 沙月さん» お返事遅くなりましてすみません。そうだったんですね!私も自分の名前に使われている漢字が出てくると驚くのでお気持ちわかります(笑)。これからも更新頑張ります! (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
希央(プロフ) - スローペースでも構いません。ちゃんと読んでいますよ!更新楽しみに待ってます (2019年4月8日 2時) (レス) id: 29de18e512 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜月 | 作成日時:2018年12月17日 23時

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