間抜けな音 ページ15
．
「あの人に繋がれたままならいっそのこと孤独になれた方がいいのに」
高「A……」
「それは駄目だって。……佐伯教授にも征司郎にも言われちゃったから」
高「佐伯教授に？」
「うん。………佐伯教授と私の父は戦友だったから。父が死んだ後、私を何かと気にかけてくださってて」
私の父と、征司郎のお父さんと、佐伯教授。
三人はここ東城大で優秀な外科医として沢山の人の命を救ってきた。
共同で論文を書いたり、新しい術式の研究だってしてた。
子供ながらに互いが互いを信頼しているのが背中から伝わってきていて、私にとって三人は憧れであり、目標だった。
こんな立派な医者になれたらって。
高「なるほどな。佐伯教授とAの関係にはずっと疑問を抱いていたが…そういうことだったのか」
「まぁ、ね」
二人の間に沈黙が流れる。
ストローでいちごみるくをちゅーっと吸えば、すっかり無くなっていたようで、ズゴゴっと空気も一緒に吸う音が響いた。
なんだか間抜けな音。
少しだけ、肩の力が抜ける。
高「一つ聞いてもいいか」
「どうぞ」
高「帝華大に戻るつもりは」
「ないよ。一生ね。そのことはもう櫻庭医院長に伝えてある」
高「あの医院長がそう簡単に君を手放すのか？」
心配そうに眉を下げた権の字らしくない顔がのぞく。
高「医院長の孫が君だということは今日知ったばかりだが、噂で聞いたことがある。医院長は随分と孫娘にご執心だと」
やっぱり噂になってたか…。
薄々そうではないかと勘付いてはいたけれど、いざ人の口から聞くとそう気分のいいものではないと改めて実感する。
あの人は、確かに私にご執心。
言葉の通り私を執拗に気にかけるし縛り付ける。
でもそれはきっと。
「私に、じゃないよ」
高「でも孫娘は君しかいないだろう」
「確かに私のことだけど、そうじゃないの」
いつまで経ってもあの人が忘れられない人を、私に重ねてみてるだけ。
私を通して見てるだけ。
「あの人はね、亡くなった娘…私の母にご執心なのよ。私、顔は母にそっくりだから」
性格は母にも父にも似ることなく、ひん曲がってしまったけれど。
高「なるほどな…」
「あの人が私を"北見A"として見てくれたことなんてきっと一度もないよ」
いつだってあの人は自分の娘の面影を探してる。
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霜月(プロフ) - 希央さん» お返事遅くなりましてすみません。コメントありがとうございます！本当にスローペースですが、頑張ります！ (2019年4月21日 23時) (
レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 美里さん» お返事遅くなりましてすみません。ありがとうございます。これからも皆様に楽しんで頂けるよう頑張ります！ (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 中原三日月さん» コメントありがとうございます。お返事遅くなりましてすみません。更新、頑張ります！ (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 沙月さん» お返事遅くなりましてすみません。そうだったんですね！私も自分の名前に使われている漢字が出てくると驚くのでお気持ちわかります（笑）。これからも更新頑張ります！ (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
希央(プロフ) - スローペースでも構いません。ちゃんと読んでいますよ！更新楽しみに待ってます (2019年4月8日 2時) (レス) id: 29de18e512 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年12月17日 23時
