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シスコン? ページ6

「姉さんは、普段はあんな性格じゃないからな」
三浦は、毎日のようにそう言っている。もう慣れを通り越して耳にタコができるほどだ。
「分かったから」
俺ー東海林隼ーがそう言うと、
「実際に姉さんを見てから言え」
と軽くキレられた。
「本当に姉さんは優しくてキレイだからな、あんな血も涙もないようなキャラじゃない」
「そうか」
聞き飽きて、相槌すら億劫だ。しかし、こいつはシスコンか?いや、俺が言うのも変か。


「…ってなことがあったんだ」
「それは、シスコンかもね」
終業式の後、ファミレスにて行われている定例会議でその話をすると、凉馬は苦笑いをした。
「俺も兄貴が生きてたらそうなってたかな」
海斗は、昼時だからと言っていつもより2枚多く頼んだピザを一人占めしながら言った。
「同じ弟って立場だけど、ショージはそういうことないの?」
…すごく痛い所を突かれた。
「ま、まあ、三浦ほどじゃないけど、なくもない、かも、三浦ほどじゃないけど」
「何だよそれ」
必死に強がってみたけど、空き缶を潰すようにあっけなく一蹴された。
「でも、俺から見ると優しいってイメージは沸かない。綺麗ではあるけど」
俺は、海斗の意見に頷く。あんなに冷たいイメージの人が、弟にだけは優しい?いやいや、その弟も生徒会にいるから、それじゃおかしいだろ。
「どういうことだろう」
「これは私の憶測だけど、もしかして三浦くんの感性の問題?」
真帆は突拍子もないことを言ったけど、それはあるかも。
「ありえる。十二分ありえる」
「とんでもない感性だな…」
凉馬はちょっと引いてたけど。
「暇があったら、調べてみるか」
「名探偵ショージ再び?」
そう言って笑っていると、隣の席に座っていた人がガタガタと音を立てて席を離れた。手には携帯。電話かな。
「あー…そうそう、今後、気を付けて」
ボソボソと早口で喋っていたけど、そんな会話が聞こえた。
「ねえ、今の人、渚学園の高等部の人じゃない?」
「え?」
真帆がコソッとつぶやいた。
確かに、上は私服だけど下は兄貴と同じだったかも。
「みんな考えてることは一緒なのかもね」
だねー、と言ってみんな頷く。

俺たちは、あの人と今後深く関わることをまだ知らなかった。

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作品ジャンル:純文学
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年3月22日 21時

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