僕らの世界4 (ページ44)

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伝えたいこと・1 ページ44

「咲、これ、なんかキョーちゃんが渡しといてって言ってたんだけど…何かあった？」
突然姉に、小さく折り畳まれた紙を渡された。私ー神河咲ーは、心当たりがなくて、首を横に振った。
「特に…」
「何なんだろ…まあいいや、咲にって言ってたし、開けてみたら？」
姉はそう言って、部屋を出て行った。

1人になって冷静に考えてみたけど、やっぱり思い当たる節はない。私、何かしたかな？なんて思いながら、8つ折りになったレポート用紙を開いていった。用紙は2枚重なっていて、どちらも文字がびっしりと書かれていた。

『神河咲さんへ』

1枚目の1番上には、ちょっと大きめの、癖のある字でそう書かれていた。

『こんにちは。こうやって手紙を書くのは慣れていないので読みにくいかもしれませんが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。』

年下の私に向かって「読んでいただけると嬉しいです」なんて書かれると、なんだか照れくさくなってくる。

『僕は最近、毎日進藤海斗くんと一緒にジョギングをしています。』

それは、初耳だった。というか、何で海斗？その理由を知るべく、手紙を読み進める。

『そこで話しているうちに聞いたこと、知ったことを報告したいと思います。
まず進藤くんは、ジョギングができるくらい元気です。最近は疲れていたようですが、よく休むよう繰り返し言った結果、少し元気になったようです。
』

私は、ほっとした。最近海斗が大変とは聞いていたけど、少しでも元気になってくれているなら、私も安心する。

『しかし、前のようにずっと人といるのは辛い、と言っていました。僕以外の人とはほとんど会っていないようです。』

しばらく海斗の様子が書かれていて、近況を詳しく知ることができた。

『それから、咲さん(どう呼べばいいか分からないので、以下咲さんと呼びます)に伝えたいことがあるそうです。』

え？私に伝えたいこと？？