恋がしたい・2 ページ5
「真帆、何でそんなこと知ってんだ?」
そう言って、俺ー進藤海斗ーははっとした。つい思ったことをそのまま口に出していた。
「何でって、ショージから話は聞いてるし、行動とかも分かりやすいし」
「マジかよ…」
「で、好きなの?」
「…まあ、好きだ。でも、loveかは分からない。俺の何では多分likeだと思う」
「ふーん…likeなの?」
「なんか、単純に仲良くなりたいなっていうか?前は吹奏楽部だったみたいだし、趣味も合うと思って」
これは、本心だった。他意はない。
「じゃあ、仮にloveとして考えたら?」
「えー…」
俺は、サキと付き合うことになったら…という考えを張り巡らせてみた。
「仲良くなれそう、やっぱ趣味合うし。俺が見てる限りでは優しいし、あとは結構可愛いかな」
「てことは、」
「アリかな」
完全に誘導された。でも、自分からそっちに向かって行ったような気もする。何だこれ。
「じゃ、私、応援してもいい?」
「…おう」
「頑張ってね」
「人の恋応援するのもいいけど、自分の恋の方はどうなんだ?」
「え、私?」
ここで形勢逆転。一気に仕返ししてこう。
「これ、人から聞いた話なんだけど、真帆のこと好きな人がいるらしい」
これは、もちろんショージのことだ。ショージ本人から聞いた話だから、人から聞いた話ってのも間違いじゃない。
「え、嘘でしょ?」
「いや、本当だって。好きって言ってた人には今日も会ってるし」
これも、今日はショージに会ったから間違いじゃない。「ねえ、誰?」と答えをせがむ真帆をしばし堪能しよう。
「…マジで言っていい?」
タイミングを見計らって訊いてみた。
「いいよ」
「聞いて驚くなよ。
…実はな…」
ショージの真似をして、とことんタメる。
「もったいぶんなくていいから!」
「はいはい。これ、俺も結構びっくりしたんだけどさ、
…ショージ」
「…え?」
「ショージは、真帆のこと好きなんだって」
「え?!ちなみに、誰から聞いたの?」
「ショージ」
「本人?!嘘でしょ?!」
「だから、本当なんだって」
「…そっか、…でも、いいんじゃないかな。恋愛対象かは分からないけど、ショージのことは好きだし」
「さっきの俺と同じ展開じゃん」
真帆は、本当だ、と言って笑った。前、「真帆とは絶対恋バナしない」と思ったこともあるけど、恋の相談をするならやっぱり真帆なのかもしれない。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年3月22日 21時