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犬猿の仲 ページ43

「真帆ー、助けてー」
ノックもなしに部屋のドアが勢いよく開け放たれる。また厄介なのが来た…
私ー青葉真帆ーは、「今すぐ帰れ!」と言いたくなるのを抑えて、声の主の方を振り向いてあげた。
「簡潔にお願いします」
恭輔は、ドアをバタンと閉め(これ本当にやめてほしい)、私のベッドに勝手に座った。いちおう女子の部屋なのに、遠慮なくズカズカ入って来られるその図太い神経に拍手喝采。
「ねー、純がひどいんだけど」
「うん、愚痴は受け付けてないから帰りなさい」
「実行委員長、めっちゃ忙しいし!真帆、代わって」
「やだ」
また下らない愚痴だ。しかも、勉強をしている時に限って来るからたちが悪い。
「ねーねー、ブースの手配ってどうやるの?」
「まず参加団体がどれくらいか調査して」
「面倒くさっ」
恭輔は、嫌ー、と駄々をこねる。
「そんなに面倒くさいなら、ショージとかに頼めば」
「真帆、お前も実行委員だろ!」
バレた、と私は舌を出す。
「分かった。渚学園中等部は私が調べとく。高等部は恭輔がやって。あと、星が丘のことは星が丘の人に頼んで」
「真帆〜!サンキュー!」
「くっつくな変態」
恭輔が抱き付いてきそうだったから、私は手で押しのけてそれを阻止した。彼氏でもないのに、よりによって恭輔にくっつかれるなんて、絶対に嫌!
「用は済んだ?さあ帰った帰った」
恭輔を追い出すと、いつもは「真帆の部屋適温だからしばらく寝てっていい?」などと言ってずっと居座るけど、今日は
「はいはい」
と素直に出ていった。


これは何かある、と思ってしばらく待っていると、やっぱり恭輔は戻って来た。
「アイス買ってきた」
そう言ってコンビニの袋を差し出された。
「ありがと」
と言って受け取ったら、恭輔は「俺も」とアイスを取り出して私の横で食べ始める。
「真帆も食えよ。溶けるぞ」
私は慌てて食べ始めた。

私が予想していた通り、恭輔はそのまま3時間近く私の部屋でゴロゴロしていった。

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設定タグ:青春 , 学園 , 友情   
作品ジャンル:純文学
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時

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