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久しぶりの日曜日・2 ページ32

午前中は、家の中でゲームをしたり勉強を教えてもらったりした。父さんにゲームの操作方法を教えたけど、何回も「攻撃ってどうやるの?」「アイテム取れないんだけど」などと訊き返してきて大変だったけど、一緒に何かをするということが、純粋に楽しかった。
その後は勉強を教えてもらった。父さんは製薬会社の商品開発担当だけあって、俺よりも色んなことを知ってるし、当たり前だけど頭もいい。学校に通っていなくても、父さんに教えてもらって半日で授業に追いつけた。もう半日あれば、余裕で授業を追い越せると思う。俺は一日で超賢くなった気分だった。

「そろそろ何か食べるか」
12時を過ぎて、勉強に疲れてきた頃、父さんは言った。
「あ、冷蔵庫空っぽかも」
ここ最近はほとんどコンビニ弁当だったから、冷蔵庫はたぶんバターくらいしか入っていない。
「リクエストある?」
「…オムライス」
これは、小さい頃からいつもリクエストするメニューだ。最初は特に食べたいものがなくて適当に言っただけだったけど、いつからか毎回そう言うようになっていた。
「了解、材料買ってくるけど、一緒に行く?」
「いいや、勉強してるから」
「あ、そう。じゃあ待ってて」
父さんは、そう言って部屋を出て行った。

さて、この後どうするか。
勉強する、とは言ったけどそんなの嘘で、それよりもっと大事なことをしなくちゃいけない。
俺は、いわゆる不登校だ。まだ父さんには言っていないけど、いつかはバレる、もしくは言わないといけない時が来る。自分が学校に行っていないことを、いつ、どうやってカミングアウトするかをよく考えておかなければならない。
俺が今考えているのは、食事中にさりげなく言う方法だ。わざわざ時間をもらうより手軽だし、受け入れてもらえる確率も高い。父さんが帰って来るまで、どうやって切り出すか、細かい所までしっかり作戦を練った。


30分くらいで、父さんは帰って来た。オムライスもパパッと作って、ダイニングに並んだ。
「久しぶりだなあ、オムライス作るの。海斗が小さい頃はよく作ってたんだけど、覚えてるか?」
「うん、何となく。…いただきます」
一口食べると、小さい頃を思い出した。こういうのを、「懐かしい味」っていうんだろうな。
「学校は楽しいか?」
半分くらい食べ終えた所で、父さんに訊かれた。これは予想外だ。切り出し方を入念にシミュレーションしたけど、父さんの方から訊いてくることは想定していなかった。
「そのことなんだけど…」
仕方なく、計画を変更した。勉強時間を削って立てた計画は、一瞬にして崩れた。

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作品ジャンル:純文学
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時

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