手がかり ページ20
「山本、ちょっといい?」
俺ー東海林隼ーは、真帆に調査依頼をした。その結果、別の依頼となってカムバック。流浪人の山本と浪越に話を聞いてこい、というミッションに変わった。
真帆が言うには、新海京也は彩花ちゃんの兄で間違いなかった。そして新海京也が荒れた理由はは生徒会と揉めたこと以外にもある。それが何かというと、友人の死、ということだった。
「浪越天星って知ってるか?」
それが、新海京也の友人の名前と聞いた。山本は思い当たる節があったのか、目をカッと開いた。
「知ってる。僕の家の近所に住んでたから」
いつもは大人しい山本が、頷きながら早口で言った。
「じゃあ、新海京也って知ってるか?」
「うーん…ごめん、知らないや」
こっちは収穫なしか、とちょっと落胆した。
「まあいいや、サンキュー」
それだけ言って、次は浪越天満の元へ走った。
「あれ、ショージじゃん」
高い声の女子に呼び止められたと思ったら、彩花ちゃんだった。彩花ちゃんは俺のことを勝手に「ショージ」と呼んでいるから、俺も勝手に「彩花ちゃん」と呼んでいる。
「彩花ちゃん、浪越ってどこにいる?」
確か今年は、彩花ちゃんと浪越は同じクラスだったはず。たぶん、居場所も知ってるはずだ。
「浪越は、教室で弁当食べてる。浪越天星のこと聞いて回ってるの?」
「正解。ありがと、それじゃ」
俺は浪越のクラスまで向かおうとした。すると彩花ちゃんに「あ、ちょっと待って」と止められた。
「真帆に言い忘れたこと、ショージに伝えとくわ。私ね、弟がいるんだ。2つ下の中1で、誠也っていうんだけどね、京也が荒れたの、誠也のせいっていうのもあるかもしれない」
「…と言うと?」
俺は尋ねた。
「誠也が小学1年生の時、自転車で事故に遭ったの。自転車乗りたての頃だったから。とりあえず助かったんだけどね。でも、車椅子になっちゃって」
俺は衝撃を受けた。今までの彩花ちゃんを見る限り、家が大変という様子はこれっぽっちも見えなかったから。
「だから、事故っていうのが相当ショックだったんじゃないかな。友達の事故が弟の事故と重なって見えたのかも」
「なるほど。分かった、話してくれてありがとう」
「うん、それじゃ」
「行ってくるよ」
彩花ちゃんと別れると、ダッシュで浪越のいる教室へ走った。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時