僕らの世界5 (ページ21)

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天星・1 ページ21

もう、流浪人会とのしがらみのことは頭になかった。ただただ驚きの連続。何度も殴りつけられるような衝撃。俺ー東海林隼ーは、開いた口が塞がらなかった。

「浪越、いるか？」
俺がそう呼びかけると、浪越は弁当を食べながら「いるぞー」と答えた。
机には、何やら容器がたくさん。大小様々なタッパーが、真ん中のバカみたいな大きさの弁当箱を取り囲んでいる。絵に描いたようなドカ弁だ。
「話があるんだけど…」
「すまん、まだ食ってるから、放課後でいいか？」
「ああ、了解。生徒会室で」
「OK」
それだけ言うと、凄まじいスピードでタッパーを空にしていく。フードファイターさながらだった。

「今日は1人だけなのか？」
「おう、今日は活動日じゃないから」
「時間外労働か」
浪越の冗談に、2人で笑った。
「ちょっと、高等部生徒会でトラブルが発生してな。情報収集してるんだ」
「トラブル？」
浪越に訊かれ、俺はここまでの一部始終を簡潔に説明した。
「へー…それで、俺とどう関係あるんだ？」
「関係者の関係者の関係者の疑いがある」
「それ、赤の他人じゃねえの」
浪越は鼻で笑った。
「とりあえず、関係者の関係者の関係者かどうか知るために質問だ。新海京也、浪越天星のどちらかを知ってるか？」
浪越は目を見開いた。図星か。
「…どっちも、知ってる」
「じゃあ、浪越は関係者の関係者の関係者だ。もう1つ質問なんだけど、その2人との関係は？」
俺がそう訊くと、浪越はうつむいて黙った。
「…新海京也は、よく俺の家に出入りしてた」
ボソッと答えた。聞き取れるギリギリのボリュームだった。
「もう1人は？」
「…一応、実の兄だ」
浪越は、こんなこと言いたくない、という風な険しい表情だった。
これは、何かある。