【小説】ネクサス魔法武術学園2 (ページ34)

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秘密の部屋(月黄泉美夜) ページ34

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この世界における"特異点"
…それは、美夜と裕莉である。

世界を牛耳る者たちが、裏で血眼になって探す程のモノを持っているのだ。

何を持っているのか…それは美夜たちしか知らないし、誰も分からないだろう。

美夜と裕莉はソレが何かを教えてくれた。

子供なのに、何故2人だけがこの様なつらい思いをしなければならないのか…

俺はただ、2人を守る事だけを考えよう。

美夜と裕莉の為なら、俺は何にでもなれる。

________________○○の日記帳より抜粋____

「今日の仕事は秘密の部屋の扉を全部開けて確認するのと…あとは、アレを見つける事！」

「は～い。…美夜は何処から開けるの？」

「図書室から開けるつもりだよ。」

「そっか、ならボクは空き教室から開けようかな。」

「じゃあ、秘密の部屋で集合ね。」

「うん。じゃあ、またね。」

それが5分くらい前の記憶。
そして今、私は図書室の"何もない壁(・・・・・)"の前に立ったいる。

アイツの言った事が本当なら、ココに部屋へ続く扉が現れるはず。

右手を壁に向かって突き出す。

"我は部屋を継承する者"

私の足元に直径5メートルほどの魔法陣が現れ、私を中心にして直径3メートル程の魔法陣がクルクルと回る。

"部屋へ繋がる扉よ"

紫色の魔法陣が赤や青など、様々な色に次々と変わって行く。懐かしい…ただそう思った。

"我の前にその姿を現せ"

すると、何もなかった壁に、貫禄のある木の扉が現れた。

「…おぉ、ダークオークの扉だ。アイツ、センスだけはいいんだよね。」

そんな事を呟きながら金色のドアノブに触れる。

「…あ、コレ兎の形してる。…この兎、蜜柑そっくりだ。」

『どの兎が蜜柑ソックリなの？』

「…ドアノブの形。」

本当にいきなり出てくるのはやめてほしい。
ちょっとビクってなっちゃったし…。

『本当だ～。おにいちゃんにソックリ！』

嬉しそうに図書室をふわふわ飛び回る林檎。

「それより、林檎。」

『なぁに？』

「一度扉を開けば、あの長い呪文は唱えなくていいんだよね？」

『うん。［開］で部屋に移動できるよ～♪』

「そっかぁ。それじゃあ林檎、行こうか。」

林檎が頷いたのを確認してから、ドアノブを捻り扉を押す。

ゆっくりと開いた扉。その奥には、闇。

『扉に入る前はただの闇にしか見えないけど、一度入れば普通に部屋が見えるようになるよ。』

その言葉を合図に、扉の向こうの闇に足を踏み入れた。