【小説】ネクサス魔法武術学園2 (ページ35)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:11,014 hit

ストーカー一歩手前(日下部輝鞠) ページ35

今、何時限目だろうか。少し授業に顔を出したが、つまらなかったので魔法を使ってエスケープしてきた輝鞠。もう少し真面目に授業を受けた方がいいと思う。そんな彼女は今自室に引き篭もっている。魔法の研究をするためだ。彼女は病弱だが、その分頭はいい。学園どころか、世界でも有数の頭脳を持っている。

彼女の得意分野は魔法と科学を合わせた魔導科学だ。かなり難しいらしいのだが、その”難しい”も世界有数の天才の前では意味をなさない。当然筆記試験では万年一位だ。武術が足を引っ張るが。彼女は病弱なのだ。引きこもっていたからだと輝鞠は言うが、それは理由の半分に過ぎない。

「呼出。ほむ、美夜がどこかに消えました。図書室のあたりだと思います。調べてください」

「畏まりました」

専属メイド、穂邑を美夜の捜索に向かわせる。美夜と裕莉に依存仕切っている彼女は魔力感知で二人の居場所を完全に把握しているのだ。依存に関しては無自覚だが。パソコンから目を離さずに淡々と作業をしていく。ディスプレイにはいつもの複雑な術式ではなく美夜と裕莉の居場所が映し出されていた。一歩間違えたらストーカーだ。

美夜の足跡を追いながら研究を進める。多分教師が何人かいちゃもん付けに来ただろう。しかし彼女の室内には侵入者除けの罠が至る所に仕掛けられており、もはや要塞と化していた。なんでもござれな万能メイドもいるのにここまでする意味とは一体。

最後に美夜がいた場所、図書室の奥に少しの魔力を感じる。インカムを使って穂邑に指示を出しつつ自分は魔力の分析を始める。どのようなものかはわかったが、奥にあるものは未だにわからない。やけになった輝鞠は自ら図書室へと向かうことにした。

「……マスター。あれ、いない…」

入れ違うようにして爰野卯衣が部屋に入る。しかし輝鞠と穂邑外ないのを確認すると、なぜかその場で寝始めた。大丈夫なのか、この学園。

デストロイド(ウィスティアリア)→←秘密の部屋(月黄泉美夜)