【小説】ネクサス魔法武術学園 (ページ19)

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殲滅完了(ネモ) ページ19

黒に赤ラインの入った服の男は、

正反対の姉妹を教室を追い出した後もしばらく動かなかった。

時に大きな爆発音がしようとも、誰かの悲鳴をあげようとも、

動くことはなかった。誰かの為に動くのは、もうやめた。

なぜなら、自分はなにも得られないのだから。周りを信じられない。

それが俺。

だがいつまでたっても辺りは落ち着かない。聞き飽きた音は雑音でしかない。

ああ、邪魔だ。

俺は教室のベランダに出ると、そこから迷わず飛び降りた。

風の抵抗を受ける俺の体を、ひとつの機械が受け止める。

黒光りする龍型のその機械は

俺の父が遺したものであり、俺の相棒。

名を、カノープスという。

黒光りの龍に乗って戦場に降り立つと、まだかなりの数のデストロイドが暴れていた。

はぁ、と溜め息をついた。

「召喚魔術」

現れたのは、また黒光りする機械。

カノープスと全くといっていいほど姿形がにている。カノープス�である。

「カノープス�、変形。カノープス。学園の真上に上昇。」

機械は俺の指示通りに動く。カノープスは学園の真上に上昇し、

カノープス�は変形して、幾つもの銃口をもつ大砲へと姿を変えた。

「カノープス�、標準合わせ。攻撃対象、学園中のデストロイド」

ガチャンと、音がした。

「発射」

次の瞬間。大砲は破壊対象に合わせた大小様々なエネルギー弾を吐き出し、

学園中のデストロイドを一体残らず殲滅した。

「殲滅完了」

最後にそう言うと、静かに召喚魔術を解除し、地上に足をついた。

「そんなのあるなら、もっと早くだしてよ、ネモ」

たまたま近くにいたらしいミルドレットが俺にそう言ってきた。

「学園の修復は任せる。さっさとやっておけ」

「はいはい」

俺はまた教室に戻った。