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2人で簓の出てるテレビ番組を見ながらのんびり過ごしていると、仕事から帰って来た零がやってきた。
「ただいま四葉、いい子にしてたかー」
映画でしか見た事がないようなマフィアのような派手な服の零は一見するとかなり怖い。顔も声もこわい。マジで怖い。
でも、四葉の前にいる時はちゃんと優しい父親の顔をしていた。
「お父さん見て!また100点貰ったよ!」
先程花丸を書いてもらった答案用紙を父親に見せる無邪気な娘。父親は大変嬉しそうに笑い、すごいぞ〜!と娘を抱きしめてやる。
あぁ、これが理想の親子図だなと、盧笙は少し寂しい気持ちになりながら2人の様子を見ていた。常に期待され、努力をして良い結果を出してもそれが当たり前だと言われ、ひとつのミスも許されず、完全無欠ではないと決して褒めて貰えない家庭で育った盧笙。
そのせいで反発してグレたりした黒歴史もしっかり持ち合わせている。
俺にもあんな親がいたらなぁと、親がああでさえなければと考え始めたところで、良くない考えを振り払うように頭を振り思考を辞めた。
「面倒見させちまって悪いねぇ、助かるよ」
「いや、俺も楽しいから全然気にせんで」
まもなくディビジョンラップバトルの予選も終盤。明日の予選であと1戦勝ち抜けば本戦に出場することが出来る。
仕事から帰宅した簓が合流し、最後の打ち合わせとプチ決起会をする。
明日のバトルは強い希望により四葉も観戦することになった。
零は知っていた。自分たちが本戦でイケブクロディビジョンのBuster Bros!!!と戦うことになることを。
そして、四葉に天谷奴零という男の秘密を明かさなければ行けなくなる日がそう遠くないことも。
全てを覚悟した上で、零は既に動いていた。数日前、自らイケブクロディビジョンまで赴いたのもそのためだ。自らの悲願を果たすために。
「お父さん、明日頑張ってね!1番前で応援してるからね!」
そう言って四葉は眠りについた。
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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時