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「ほな、俺達もいこか。そろそろ来ると思うで。」

簓が四葉の手を取り部屋に戻ろうとしたタイミングでエレベーターが開き、盧笙と零が2人の荷物を持って降りてきた。

そして、その数秒後に隣のエレベーターから二郎と三郎が降りてきたのだった。

鉢合わせた二郎と三郎は、「げっ……」と隠さずにあからさまに嫌そうな顔をした。

「はは、そんな嫌がんなって。お父さん傷ついちゃうな〜〜」

零は相変わらずの調子で、二郎と三郎は犬のようにガウガウと吠えていた。

「お前と迎えに行った四葉がなかなか帰ってこーへんから、荷物持ってきたで。」

「あぁ、ありがとうな、ちょっと色々あって……」

赤く腫れた簓の頬を見た盧笙の顔が引き攣る。

「お前……なにしたん……」

「ま、仲直りの証やさかい気にせえへんで。な、四葉」

あれは仲直りだったのかと思いつつ四葉は頷いた。

「ま、ならええんやけど。零、いつまで娘放ってワンコたちと遊んどんねん」

「あぁ!?誰がワンコだって!?」

盧笙の言葉に二郎が青筋を立てて怒っているが、相手にする気もないのかそのまま簓に荷物を渡すと、二郎は舌打ちをして一郎に荷物を渡した。

「ごめんなさい、簓迎えに行ったのに」

「いや、いい。みんなと話せたんだろ?」

「うん」

「ならそれでいい。一郎、四葉が世話になったな」

荷物を受け取った一郎はチラッと零と四葉の方を見ると「別に俺は何もしてねーよ」と小さく答えた。

四葉の前では優しそうな顔をしていても、零が居るとなると別らしい。

「ほな、そろそろ帰ろか!」

帰る準備のできた簓がみんなに声をかける。
せっかく会えた血の繋がった家族と別れるのは少し寂しいような気がした四葉は一郎の顔をじっと見つめる。

それに気づいた一郎はフッと笑って四葉の元に歩み寄る。

そして四葉をそっと抱きしめた。

「いち兄!?」「兄ちゃん!?」

騒ぐ二郎と三郎には触れず一郎は四葉を抱きしめて話し始めた。

「そんな不安そうな顔すんなって。大丈夫、お前は俺の妹。俺たちは四葉の兄貴だ。時間はかかるかもしれないが、二郎も三郎もちゃんと受け入れてくれるよ。
前にも言ったが、俺たちとお前の父さんとの問題にお前は関係ない。
だから、俺たちは俺たちで仲良くしような。」

そう言って四葉の頭を撫でてやる。
四葉は嬉しそうに笑った。

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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時

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