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「はっはっはっ!だってよ四葉!兄ちゃんたちに嫌われてなくて良かったな!」
他人事のように笑う零に一郎がキレる。
「何笑ってやがんだ元はと言えばお前が原因だろうが」
「まぁまぁ、お前が言った通りこいつに罪はねぇ。許してやってくれ。二郎、三郎もな。」
「馴れ馴れしく父親面してんじゃねーよ。」
「珍しく二郎と同意見だ。僕達はお前が父親だとは認めてない。」
一郎の後ろからやんややんやと文句を飛ばしてくる二郎と三郎。彼らにとって親であり兄である一郎が全てなのだ。今更、本当の父親など必要ないのかもしれない。
「四葉ちゃん、こいつの所にいるのが嫌になったら俺ん家に来るといい。俺が面倒見てやる。」
一郎はそう言って四葉の頭を優しく撫でてやった。
「えー!?僕は反対ですいち兄!こいつのせいでまたいち兄の負担が増えます!」
「俺もやだよにーちゃん!」
駄々をこねる二郎と三郎に一喝し、「じゃ。簓もまたな」と去っていく。
「俺達も飯いこか!」
簓の言葉にようやくフリーズが解けた四葉は、「うん!」と嬉しそうに歩き出す。
ちょっとだけお兄ちゃんという存在についてわかった気がする。
合歓お姉さんみたいに、お兄ちゃんを大好きになれる日はくるのかな…とふと考えた。
四葉はハッとして、そういえば無花果さんと合歓お姉さんにお礼を言うのを忘れてしまった!ということを思い出した。
お父さんが知り合いって言ってたし、ホテルの部屋に戻ったら聞いてみることにした。
しかし、レストランでおなかいっぱい食べた四葉はお昼寝をしたにも関わらず、ホテルに戻るなりベッドの海に沈んで行ったのだった。
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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時