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残りの2戦の観戦を終える頃には四葉は目を覚ましていた。
その目は可哀想なくらい赤く腫れてしまい、誰よりも痛々しかった。
3人は誓う。もう四葉にこんな思いはさせないようさらに強くなると。
試合を制したのは、麻天狼とFlingPosseだった。
初出場のナゴヤは前回王者の前に敗れた。
そして、出場経験のあるシブヤとヨコハマの試合は、所よりも白熱した結果、ヨコハマが敗れる結果となった。
乱数というイレギュラーを受け入れ、何よりも強固となったシブヤの絆は、ヨコハマの強さをも凌いだのだ。
事情を知ってる零はシブヤの試合を見て、思う。ついに本物になったのだと。
これは優勝も夢では無いと。
「さ、俺達もホテルに帰るか。」
敗退したチームは明日は観戦のみ。
今日は美味い飯でも食って、ゆっくりと休もう。
そう4人で話しホテルへ帰ろうとする時。
別の観戦室から出てきたチームとばったり出くわしてしまう。
それも、Buster Bros!!!と。
つい先程、全力で戦い、勝者となった者達と敗者となった者達。
お互いに気づき、気まずい空気が流れる。
先に口を開いたのは試合の時と同じく零だった。それはお決まりの「よー三兄弟!」
そして続く言葉は「おめでとう」だった。
呆気に取られる3人。
零に続いて簓と盧笙も「おめでとうな!」「おめでとさん!」と健闘を称える。
一郎は小さく「あざっす」とお辞儀した。
簓はいつもの調子で話しかけるも3人の意識は簓ではなく零の方へと向けられていた。
簓は「ま、そらそうやな」と1歩下がる。
「なぁクソ親父。」
一郎が口を開く。
「俺は俺たちを捨てたお前を許さねぇ。今日こーやってボコボコにしてもしたりねぇくらいにな。」
一郎の言葉に、四葉はそっと傷つく。きっとこの人たちは自分のことも嫌いなんだ、怒ってるんだ、と。
しかし一郎の口から出た言葉は予想外のものだった。
「でも、お前も血の通った人間だったんだな、とは思った。」
その視線は四葉へと向けられる。
「その子、しっかりと育ててやれよ。」
キョトンとした顔の四葉に、一郎は話しかける。
「四葉だったな。お前には悪いが、俺たちはお前のとーちゃんのことが大っ嫌いだ。
でも、それはお前自身には関係のねぇ話だ。
半分しか繋がってないとはいえ、お前は俺たちの妹なんだから、何かあったら頼れよな」
そう言ってニカッと笑う。
てっきり自分も罵られるものだとばかり思い込んでいた四葉は空いた口が塞がらなくなる。
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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時