【ヒプマイ】約束と復讐、そして幸運。【どつ本】 (ページ33)

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「ええ、私はお兄ちゃんのこと、大好きよ。世界でたった1人の大切な家族。」

たった1人の、と聞いてこの先は聞いてはいけないなと悟る四葉。
四葉には突然兄が3人できた。それもまだ挨拶をした事のある程度の関わりしかない。

今まで一人っ子だと思って育って来た四葉はまだ兄達の存在をなかなか受け入れられずにいた。

そんな兄たちが今日父親と戦うのだ。
兄たちは父のことを酷く恨んでいるようだった。それはきっと父が3人を置いて家を出たからだろう。
そして置いて出ていった先で生まれたのが私。私は、父から溢れんばかりの愛情を受けて過ごしてきた。あの3人には与えられなかった愛情を。

だから、きっと、あの3人は私のことも、嫌いだと思う。

「そう、あなた一郎くんたちの妹だったのね。」

きっとこれから先も兄たちと関わることはほとんどないだろう。でも、四葉には興味があった。兄という存在に。

「きっと大丈夫よ。一郎くんも二郎くんも、三郎くんも。お兄ちゃんって言うのは、妹のことを大事にしてくれるもの、そう私はお兄ちゃんに教わったわ。一郎くんも、弟くん達のことすごく大事にしてる。きっと、四葉ちゃんも、その中に入れる日が来ると思うよ。」

そう言って頭を撫でてくれる合歓。四葉はお姉ちゃんが居たらきっとこんな感じなのかな、と少し照れくさそうに笑った。

すると突然会場の照明が落ちる。
会場の中心をスポットライトが照らすと、そこには先程案内をしてくれていた勘解由小路無花果が立っていた。