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「四葉は数学が特に得意でな、あっという間にこんなところまで勉強してやがった。
そこで、お前にひとつ頼みを聞いてもらおうと思ってな。
おっと、もちろん仕事としてだ。報酬は出す。
せっかくの四葉の才能を潰したくない。むしろ伸ばしてやりてぇんだ。だが俺では限界がある。
盧笙、四葉に勉強教えてやってくれねぇか?」
父親の話を聞いた四葉は目をキラキラさせていた。
「か、家庭教師という事だよな?俺も仕事があるし帰る時間は遅いからそんなに時間は作れへんかもしれんが…」
「大丈夫だ、お前が暇な時相手をしてくれたらいい。
そんで簓」
「なんや?」
突然話を振られ首を傾げる簓。
「お前にも頼みがある。見ての通り四葉はあまり話さない。学校でもそうらしい。暇があれば話し相手になってやって欲しい。お前の話はおもしれぇからな。」
「おお!そんなんなら任せてや!俺の得意分野や!
むしろ、四葉ちゃんに俺の話し相手なって欲しいくらいやで!よろしゅうな四葉ちゃん!」
トントン拍子で話が進む様子に口をぽかんと開けてた四葉。ようやく追いついたのか、話しかけられたことに気づいたのか、簓に向かって満面の笑みを向ける。
「うん!よろしくね!簓!」
「こら、お兄さんだろうが」
突然年上の人を呼び捨てにした娘を叱る姿は父親そのもので、そんな様子を意外な目で2人は見る。
「ええよええよ!四葉ちゃんにとったら俺なんてお兄さんなんて歳でもあれへんし、そっちの方が仲良うなれそうやしな!改めてよろしゅうな、四葉!」
「うん!あと…先生?」
盧笙の呼び方に困っているようだ。確かに家庭教師としてこの先関わるのであれば「先生」が正しいであろう。
しかしそれだと堅苦しいと感じた盧笙は一言「俺も盧笙でええよ」と優しく笑いかけると、四葉はとても嬉しそうにしたのだった。
「さて、四葉。もう夜も更けてきた。そろそろ寝なさい。」
時計を見ると21時をすぎたところだった。
お休みの挨拶を済ませて部屋に戻る四葉を見送ったあと、簓はようやく肩の力が抜けたのかソファーに急にだらけ始めた。
「あー、ほんまに緊張したわー。仲良うなってその日に突然家に呼ぶなんて、俺ら何されるんかと思たわー」
「ハハッ悪かったなぁ。だが、ありがとよ。この借りはバトルでちゃんと返すぜ。」
「それは楽しみだ」
ここからは大人の時間。酒を飲みツマミを口に放り込みながら、たわいも無い話をする。
どついたれ本舗結成の祝賀会であった。
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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時