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半ば無理やり連れてこられたのは、
「失礼します！！」
「あぁ、来たのですね……四葉。」
現総理大臣、言の葉党党首、東方天乙統女だった。
「え、な、なんで……」
「おや、無花果から聞いてないのですか？ふふふ、私は昔、よくあなたのオムツを替えたりしていたのですよ。」
「え…？」
何を言ってるのだろう。全く理解の出来てない四葉は固まったまま動かない。
「私はあなたのお父さんと少しばかり交流があったのです。産まれたばかりのあなたを、あなたのお父さん1人で育てるには無理がありました。私としても、我が党の党員のせいで産まれたばかりの女の子を死なせてしまうのは大変心苦しかったのです。そこで、あなたが大きくなるまでの世話を申し出た、という訳なのですが、ご理解頂けましたか？」
すっごくよくわかったと四葉は全力でブンブンと首を振る。
だとしても、テレビの政見放送で何度も見た事のある総理大臣を前にして、緊張が解けない四葉。
「ふふ、怖がらせるつもりは無かったのよ。ただ、私が大きくなったあなたに会いたかったの。だって、あの男は会わせてくれないから。さぁ、こっちへいらっしゃい。あなたのことよく見せて。」
微笑む乙統女。それはまるで愛おしい我が子を見つめる母の顔だった。
四葉は言われるまま乙統女の前に進む。
「はい、乙統女…様。」
「あら、堅苦しいけど、でも仕方ないわね。
ほんと、大きくなったわね。今幾つになったの？」
「10歳になりました。」
「そう、すっかりお姉さんね。それは私も歳をとるはずだわ……」
四葉の頭を撫でる乙統女は遠くを見ると物憂げな表情をした。まるで何かを思い出すように。
「あの、乙統女様。そろそろお時間が……」
無花果が時計を確認し乙統女を急かす。
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作者名：蒼依 | 作成日時：2022年12月11日 21時
