検索窓
今日:1 hit、昨日:34 hit、合計:3,180 hit

ページ3

「こいつを紹介しておきたかったんだ。娘の四葉だ。
四葉、父さんの友達だ。挨拶しな。」

『は、初めまして…四葉です…』

おずおずと控えめな挨拶をする四葉という子供。見たところ小学生のようである。

「あぁ、よろしゅうな!俺は白膠木簓!簓でええで!一応芸人やってますぅ。」

「俺は躑躅森盧笙。四葉ちゃん、よろしくな。」

背の低い四葉の目線に合わせるようにしゃがんで挨拶をする2人をみて少し緊張がほぐれたのか、四葉は小さく微笑んだ。

「まぁ、玄関でってのもなんだし上がってけや」

「「おじゃましまーす」」



リビングに通されソファーへと腰を下ろす2人。
四葉は父親の手伝いをしようとキッチンに向かっていた。
少しして、お盆にコップをふたつ乗せた四葉が戻ってきた。

ありがとなと受け取るとニコッと笑い父親の元へと戻っていく。

「かわええなぁ」

「だろ?俺の自慢の娘だ」

ボソリと呟いた一人言に、返ってくると思ってなかった返事が返ってきて簓が飛び跳ねる。
き、キモイとか思われてへんよな…?と冷や汗をかいてるのを誤魔化すかのように話を続ける。

「いやほんまに!
四葉ちゃん、歳幾つなん?」

「えと……10歳です」

「10!?えっらい大人びてるなぁ!」

ということは小学四年生か…と頷くのは躑躅森盧笙。彼は高校の数学教師である。
簓の言う通り四葉は10歳にしては物静かで落ち着きのある子だった。

「俺がこんなんだからかもしれんが、あまり友達は多くない方でな。でも、頭がすごくいい。
四葉、今自分で勉強してる本、持っておいで」

こくりと頷き、自分の部屋にむかったのを確認すると盧笙がそっと口を開いた。

「あの、いきなりこんなこと聞くのはとても失礼やと思うんだが聞かせてくれ。あの子の母親は…」

「あぁ、あいつに母親は居ない。どこにいるのか、生きてるのか死んでるのか、それすらも分からない。でも、俺は会わせる気はないんでな。探してすらねぇ。」

「どうして…」

「あの女は心底可哀想な女だ。でも、アレはあの子にとって、いい母親には絶対なれねぇ。だから、俺一人で育てるって決めたんだ。」

重たい空気が広がる中に四葉が戻ってきた。
その手の中には…

「えっ、数学I !?」

数学Iとは主に大体の人が高校で習う数学の一つである。
そんな内容の本を10歳の子が持ち出してきたのだ。
そして、躑躅森盧笙の職業は高校数学教師。まさに専門分野であり、現時点で受け持ってる生徒に教えてる内容である。

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。