１９ ページ19
そこには、言の葉党総理大臣補佐の勘解由小路無花果が歩いて来ていた。
｢おい、うるさいぞ！男どもは本当にどこまでも野蛮でゲスな生き物だな。｣
｢か、勘解由小路さん、お久しぶりっす…｣
前回のディビジョンラップバトルでの経験のある一郎は警戒のために1歩後ずさる。兄に続き二郎と三郎も警戒を怠らない。
｢久しぶりだな、山田一郎。またバトル前に問題を起こしているのかと思ったが…少しは学べる脳みそは持ち合わせてるようだな｣
挑発的な無花果に対し一郎は｢そりゃどーも｣と軽口を叩けるくらいには余裕があるようだった。その様子に、ふんっと不満げに嫌な顔をしたあと、二郎と三郎を睨みつける。
｢ふんっ、お前の弟たちの首輪、しっかり握っておけよ。｣
酷い言われように二郎と三郎はキッと睨むも、無花果は気にする素振りも見せずそれを無視して簓の方へと向いた。
｢貴様の顔はテレビで見るよりもヘラヘラしてて腹が立つな。｣
｢お！わいのこと知っとるんか！お姉さんおおきに！｣
｢うるさい、私の前でヘラヘラするな！
おい、天谷奴零。その娘を連れてくる許可はとっているのか？｣
｢あぁ、ちゃんとしてるぜ。ほらよ、通行証。｣
零は自分と四葉二人分の通行証を掲げてみせる。それを見た無花果は満足気な顔をし、四葉の元へ歩み寄る。
｢取ってるならいいさ。四葉か。大きくなったな。今日のバトル、存分に楽しむといい。｣
ぽんと四葉の頭に手を置き、｢お前ら着いてこい｣肩にかけているコートを翻して門に向かって歩を進めた。
呆気に取られてる四葉に零は声をかける。
｢あいつはちょっとした俺の知り合いなんだ。だからお前のことも知ってたのさ。｣
無花果に頭を触られた時、不思議と嫌な感じはしなかった。最初あんなに怖いと思ったのに。
中王区の人は女性には優しいと聞いてはいたけど、あの人はどこか違う……また別の……
ほら行くぞと零に手を引かれ四葉は慌てて歩き出す。生まれて初めて入るであろう中王区。
雲まで届きそうなほど高い壁をくぐり、その中へと進んで行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼依 | 作成日時：2022年12月11日 21時
