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零はその様子を見て満足そうにニヤリと笑い、「あぁ」と短く一言返した。
そんな緊迫した空気をぶち壊すドアホが1人。
「え?えぇ?えええええええ!?!?なになに!?四葉は零の娘やろ!?そんでそんで、その一郎たちの、妹ぉ!?」
空気を読まない簓に盧笙がすかさず「うるせぇドアホ!」とゲンコツでツッコむ。
「いやいやいやいやいや、だって、え、てことは、この三兄弟の父親が…零!?」
当事者を差し置いて1番パニックになってる簓を見て、零は愉快そうに大きな声を出して笑った。
「はっはっはっ!そうだった、お前らにも言ってなかったな。俺は四葉と、この3人の、パパだ。
一郎、二郎、三郎、黙ってて悪かったな。別に隠してるつもりはなかったんだ。ただ、話す必要も無かった。それだけだ。だが今回は、話す理由が俺にできたから、四葉を連れてきた。」
「おい、どういうことかちゃんと説明しろ…」
怒り心頭の一郎。今にもマイクを取りだし襲いかかろうとする勢いだった。
「まぁまぁそう怒るなって。話せば長くなる。この戦いが終わったら洗いざらい全部話してやるからな?四葉が怖がってる。そのガン飛ばすのをやめてやってくんねぇか」
ハッとして四葉と名乗った少女を見ると完全に怯えてしまっていた。やべっと小さくを漏らし慌ててその場にしゃがみ四葉と視線を合わせてやる。
「わっ、悪い!よ、四葉ちゃん…?初めまして、俺は一郎だ。怖がらせちまって悪かった。少しばかり驚いてな……」
「い、いえ……」
「ほら!二郎と三郎もちゃんと挨拶しろ!」
一郎の言葉に固まっていた2人が慌てて動き出す。
「お、俺は二郎だ。よろしく…」
「さ、三郎です。え、えっと、四葉…ちゃんは、何歳?」
話しかけられた四葉は再び硬直するも、零にほれと背中を押され声を絞り出す。
「10歳……」
「そ、そうなんだ……じゃあ小学生なんだね」
これ以上の会話が続かない。ぎくしゃくとした居心地の悪い空気に耐えかね、盧笙に抑え込まれてた簓が前に出る。
「あー、生き別れの兄妹の感動の再会のところ遮って悪いんやけど、あまり時間はあれへんようやで」
簓が顎で指した方を全員が見る。
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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時