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「俺の弟がすんません。簓さん、盧笙さん、この間ぶりっすね。紹介します。こっちが二郎で、こっちが三郎です。今日はよろしくお願いしますね」
昔簓とチームを組んだ経験のある一郎が挨拶をすると、それに続くように、盧笙も挨拶をした。
「あ、躑躅森盧笙です。一郎くんはこの間はおおきにな。普段は高校教師をしてます。よろしゅうな」
盧笙に対しペコッと頭を下げた二郎と三郎、その視線はどついたれ本舗の最後のメンバー、天谷奴零に向けられる。
「よぉ三兄弟〜!!……って、おいおい、そんなに睨むなって……
──────四葉が怖がるじゃねーか。」
「え……?」
零の言葉で初めてその小さな存在に気づいた。
零の後ろに隠れるように1人の女の子が立っており、こちらを覗いていたのだ。
「えっ、だ、だれ…いっ、いち兄…!」
「……」
四葉を見た瞬間、三郎が凍りつく。妙な胸騒ぎと嫌な予感を覚えたからだ。硬直する体を無理やり動かし、一郎に問いかけるも、一郎は何も言わなかった。
「ま、そーなるよなぁ。しかたねぇ、四葉、お前から挨拶しなさい」
後ろに隠れる四葉の背を押し前に出す。
四葉自身、見ず知らずの兄たちに会うことになる覚悟はしていたとはいえ、吐き気を催しそうな程の緊張と、3人からの刺さるような視線に完全に硬直していた。
「あ、天谷奴…四葉です。はじめまして。」
絞り出したか細い声は可哀想なくらいに震えており、震えを誤魔化すかのように父である零の手をギュッときつく握りしめていた。
「天谷奴……だと。おい、親父……」
聞いたこともないくらい低い声の一郎。二郎と三郎は突如目の前に現れたその少女から目を逸らせなくなっていた。
「あぁ、そうだ。お察しの通り、四葉は、俺の娘だ。」
衝撃のカミングアウトにガンと頭を殴られたように真っ白になる3人。
二郎は、「は?え?何どういうこと?」と混乱し、三郎は完全に理解したようで「馬鹿!あの子は、俺たちの…」と声をふるわせていた。
「この子は、俺たちの妹って、ことなのか。」
最終的に確認をしたのは長男の一郎だった。
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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時