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零は当たり障りのない内容だけを四葉に伝えて口を閉じる。

父親の話を聞き終わった四葉はしばらく口を開くことが出来なかった。

初めて聞かされた母親という存在について。
そして、半分血の繋がった兄弟の存在。

でも、心底ほっとしていた。
もし、自分が本当は父親と血が繋がっていない他人だったらどうしようと、底知れぬ不安を抱いていたから。

私は正真正銘、お父さんの娘。

それだけで四葉は胸がいっぱいだった。

父親の口から初めて聞いた「愛してる」という言葉。
父からの愛は常に感じていたが言葉に出されたのは初めてだった。

四葉は、愛する父の腕の中でたくさんの涙を流した。
それは決して悲しみの涙では無い。
大好きな父親からの愛を感じ、自分がこの世に生を受けたこと、大好きな父の元に生まれてこれた奇跡を、齢10歳にして噛み締めていた。

四葉はどこまでも大人びていた。でも、父の腕の中で泣きじゃくる姿は、年相応の幼さを感じさせたのだった。

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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時

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