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天谷奴零、改め、山田零の独白。

俺は天谷奴零。オオサカディビジョンのしがない詐欺師だ。

俺は詐欺師。

俺は俺ではない。

俺の本当の名前は

──────“山田零”

四葉が生まれる十数年以上前の話。

俺はイケブクロでとある女性と結婚し、一郎と二郎と三郎が生まれた。しかし彼女は三郎を産んですぐ死んでしまった。

理由については、今はまだ話せない。四葉や息子たちの安全のためだ。一郎は、きっと気づいてるんだろうがな。
でも、それくらい深く悲惨な理由がある。

俺は彼女を心の底から愛していた。息子たちと暮らす日々は幸せだった。

しかし、彼女が死んでしまってから、世界は変わってしまった。
まるで色を亡くしたかのような灰色の世界。

俺1人で息子3人を育てても幸せにしてやれるのだろうか。この抑えようのない怒りと絶望を抱えたままで。
一郎は既に二郎の面倒を見るので手一杯。そんな2人と生まれたばかりの三郎を男手ひとつで育てられる自信は完全に無くなっていた。

俺は非情にも息子たちを施設に預けることにした。俺は、息子よりも彼女の死への復讐を選んだんだ。

独り身になった俺は国の研究機関で研究に明け暮れた。そう、ヒプノシスマイクの開発だ。
これがいずれ彼女の復讐を果たす鍵となることを俺は知っていた。

そんな折だ、四葉の母親になる女と出会ったのは。

彼女は研究所の研究員のひとりだった。とても頭の良い優秀な奴だった。奴は俺の補佐を自ら買って出て心身ともに支えてくれたんだ。

奴のおかげで俺はヒプノシスマイクの開発に成功したと言っても過言では無い。
いつしか俺たちは惹かれあい、そして四葉が生まれた。

しかし、奴は生まれた子供が女だと知ると心底ガッカリし、すぐ次の子供を欲しがった。

そう、奴は言の葉党の一員。宗教的に、盲目的に、東方天乙統女を崇拝し、心の底から男を見下していた。息子を欲しがっていた理由も、自分が優位に動くためのコマとして欲していたと分かった。そこために娘は邪魔になる…と。

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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時

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