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うん。やっぱ似てる。
私にはお母さんは最初からいなかった。お父さんからは行方不明とだけ伝えられていたが、最初からあったことの無い人を探して欲しいとお願いする気になる事も無かったので、それほど気にしたことがなかった。
初めて興味を持った「おかあさん」という存在。
お母さんはどんな人だったんだろう。

目の色は、いったい…何色だったの…?


そんな折、突如後ろから名前を呼ばれ、びっくりして体を大きく跳ねさせる。

「悪ぃ驚かせたな。おはよう、四葉」

「お父さん、おはよう」

零は娘が食い入るように見ていたのがBuster Bros!!!だと気づくと、厳つい顔の眉毛を下げて笑った。

「こいつらのこと、気になるか?」

「……うん。」

「聞きたいことがあれば、答えてやるぞ」

我ながらずるい大人だと自らの発言に呆れた。自分の娘に、隠していた秘密を自ら話す勇気が無かった。
出来れば気づかずにいて欲しい。このまま気づかずに一生を終えて欲しいとすら思う程だ。

四葉は悩んだ素振りを見せたあと静かに口を開いた。

「目の色。この人たちの緑は、お父さんとお揃い……なの?」

四葉なりに言葉を選んだ精一杯の質問だった。
自分には持ってない『緑』。それを父親と三兄弟は持っている。たとえ自分の中で結論が出ていても分からないふり、気づいていないふりをしていたかった。

零はそっと口を開く。

「あぁ、そうだ。あの3人は、」

四葉がゴクリと唾を飲み込む。

「俺の、息子たちだ。」

しばし沈黙の間。先に口を開いたのは零だった。

「俺や、こいつらのこと、そしてお前の母さんのこと、知りたいか?」

四葉は分かっていた。私には教えなかった理由があったのだと。それが、教えられない理由だったのか、教えたくない理由だったのかは分からない。でも、頭の良い四葉は自ら気づいてしまったのだ。

「うん、全部、教えて。」

「お前は悲しい思いをするかもしれないぞ?」

「うん、それでも。私は大丈夫。だって、私はお父さんの子だもん。」

いつの間にこんなに成長したんだと、娘の強さに目頭が熱くなる。これを言ったら娘に嫌われるのではないか、娘が癒えない傷をおってしまうのではいないか、色んな不安をグッと押さえつけて静かに語り出した。

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作者名:蒼依 | 作成日時:2022年12月11日 21時

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