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大切な思い出 ページ38

結局、私も目を腫らして霊安室から出ることになった。




角を曲ろうとした時、私より少し、背が高い男の子とぶつかった。

「うわっ、ごめんなさい」

「……キミも、場地に?」


その言葉に顔をあげると、彼の視線の先には場地くんの眠る霊安室があった。









待ってて、と金髪くんに言われて、しばらく病院のソファに腰掛けていた。



「……おまたせ」



そう言って隣に腰掛けてきた金髪くんは、今にもどこかに行ってしまいそうな顔をしていて、何をすればいいのか分からなかった。



「……オレ、佐野万次郎。マイキーって呼んで」

「山守彩華です……えっと、マイキーくんは、私に何かあるんですか?」

「……場地がね、ちゃんと勉強するようになったんだ。ガキの頃からずっと、一言目には喧嘩だったやつがさ。なんでだよって聞いたら、ダチのおかげだって……彩華ちゃんのおかげでしょ?」

「え…」

「大変だったでしょ、アイツ馬鹿だから」

「うーん、まぁそうですね……でも、本当の馬鹿ではないと思いますよ」



マイキーくんは、じっと黙っている。



「……場地くんは、とっても優しい人です。私、いっつも場地くんに助けて貰ってました。
場地くんは…誰より人のことを思える人だと、思います」


だいぶ、でしゃばったことを言ってしまった。

そう思って、謝ろうと口を開いた瞬間、マイキーくんが泣きそうな顔で笑っていた。


「……彩華ちゃん、場地のダチになってくれてありがとう」


……きっとマイキーくんは、場地くんのことが大好きだったんだろう。


「いいえ……むしろ、私の方が場地くんにありがとうって言いたいです」

「……ふふ、オレも」


マイキーくんは柔らかく微笑んで、ふと何かを思い出したようにズボンのポケットをまさぐった。



「これ、もしかして彩華ちゃんが場地にあげた?」


ちょこん、とマイキーくんの手に置かれていたのは、私が誕生日にあげたお守り。


「あ、はい!これどこで……」

「場地の上着に入ってた。おばさんに聞いたら違うって言うから、もしかしたらと思って……」

「……?これ、開いてる」


受け取った時、紐がよれているのに気がついた。

あまり良くないと理解しつつも、お守りの中を探る。
指に引っかかった紙を取り出し、広げて、私は息を飲んだ。


場地くんの誕生日に三人で撮った写真。













ねぇ、こんなのずるいよ。









泣き出した私の背中を、マイキーくんがさすってくれていた。

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碧葉(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます!!そう言って頂けてとても嬉しいです! (2021年8月13日 6時) (レス) id: 3b7c38c624 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 見てて楽しかったです!更新頑張ってください!場地さんかこかわすぎ…でした… (2021年8月12日 20時) (レス) id: dda0942623 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:碧葉 | 作成日時:2021年8月12日 17時

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