伝わらないこと ページ37
｢場地さんが、亡くなったんです｣
頭をガツンと殴られたような衝撃が走った。
ついこないだ、私をバイクに乗せて海に行って、隣で笑っていた場地くんが……死ん、だ？
松野くんを見ると、無言で涙をボロボロ流して嗚咽を漏らしていた。
｢彩華さんっ……俺、守れ…なかった。場地さんは、俺が守るって、決めてたのにっ…。
クソッ……クソォ！なんで！俺はこんなに、弱いんだよ！守るどころか、死なせて…彩華さんにも、そんな顔させてっ…。オレっ……｣
体が勝手に、松野くんを抱き締めていた。
｢……ごめんね。私、二人が入ってるチームのこととか何も知らなくて。無責任に誕生日会やろうとか言って、松野くんに負担かけた。ごめんなさい。
辛かったのに、私に場地くんの言葉を伝えてくれてありがとう｣
松野くんは、声をあげて泣いていた。
｢……来て、くれたのね。彩華ちゃん｣
朝の日差しが差し込む廊下でぺこり、と場地くんのお母さんに頭を下げた。
彩華ちゃんが来てくれて圭介も喜んでると思うわ
ぁ、と泣き腫らした目を細めておばさんが言った。
霊安室の前まで案内されて、中に通される。
場地くんのお母さんも、病院の人も出て行ってしまった。
ゆっくりと、場地くんが眠る場所に近づく。
いつもより穏やかな顔。
でも、そっと触れた手は冷たくて、場地くんはいないんだって実感させられる。
｢……場地くんのバカ。夏祭りだって一緒に行ってくれなかったし、テストで平均点取るって言ったじゃん。そしたら、100点あげるって約束したじゃん。
……ねぇ、目開けてよ。買ったんだよ、場地くんに。花丸のスタンプ。……これで、いつでも100点あげられたのに……さ。
なんで……いなくなっちゃうの｣
ごめんね、ごめん。
きっと、ここで言うべきなのは｢ありがとう｣って言葉なんだろう。
でも……もっと場地くんと一緒にいたかったよ。
きっと大人になっても、君は勉強が苦手なままで。
先生になった私は、約束通り君に勉強を教えていて。
松野くんも、そこにいて。
場地くんの馬鹿さに呆れて、三人で笑うの。
｢…………聞いたよ、場地くん。仲間を守るために、死んだって。……本当にかっこいいね、君は｣
俺、ちゃんとやれた？
｢もちろん！…百点満点だよ、場地くん｣
君が生きてる時に、沢山言えば良かったなぁ。
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碧葉(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！！そう言って頂けてとても嬉しいです！ (2021年8月13日 6時) (
レス) id: 3b7c38c624 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 見てて楽しかったです！更新頑張ってください！場地さんかこかわすぎ…でした… (2021年8月12日 20時) (レス) id: dda0942623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧葉 | 作成日時：2021年8月12日 17時
