サプライズ ページ27
あっという間に冬があけ、私は中学三年……いわゆる、受験生というものになった。
今年は多分、去年のように沢山遊ぶことは出来ないなぁ、と少し憂鬱に感じていたけれど、案外勉強も楽しくて充実した日々を送っている。
ただ、場地くんと松野くんは気をつかっているのか、勉強を教えてくれ、と頼まれることも少なくなった。
私としては、教えること自体は全然問題ないけど、二人の気遣いが嬉しくてあまり言い出せずにいる。
私の誕生日の前日、場地くんから一通のメールが届いた。
それは、久しぶりに三人で遊ばないか、というもので私は快く了承した。
私が生まれて、十五年目の日。
お母さんとお父さんに朝からおめでとう、と言われ、学校に着けば凛ちゃんやクラスメートの子からプレゼントを貰ったり。
あっという間に放課後になり、プレゼントでいっぱいの鞄を抱えて松野くんの家へ向かう。
チャイムを鳴らせば、奥からドタドタという足音が聞こえた。
｢彩華さん、いらっしゃい！｣
｢お邪魔します｣
中に入れば、あの有名な土管工事のおじさんのゲーム音が流れていた。
｢よ、彩華｣
｢なんか久しぶりだね、二人とも｣
｢お前色々忙しいからな。ま、とりあえず今日は思う存分ゲームしよーぜ｣
まずはこれだな、と場地くんは自分の物のように松野くんのゲームソフトを広げてひとつのソフトを選びとった。
｢ちょっと待って！無理無理無理無理！！｣
｢無理じゃねぇよこうやんだよ！｣
｢彩華さん相変わらず下手くそっすね｣
｢あ、このゲーム好きかも｣
｢マジすか？良かったら貸しますよ｣
｢千冬ぅ、こいつ受験生だって｣
｢あ、すんません｣
｢勝った……！｣
｢チッ、最後ミスんなきゃな……｣
｢あ、もうこんな時間っすね……そろそろ帰ります？｣
松野くんの声で、一気に現実に引き戻された。
本当に、あっという間の一日。
ぼーっと時計を眺めていた私は、二人が目を見合わせているのに気づかなかった。
｢じゃあ、改めて｣
｢彩華、誕生日おめでとう｣
｢彩華さん、誕生日おめでとうございます｣
二人の言葉に、何も返せずにいると松野くんが心配するように言った。
｢……彩華さん、自分の誕生日忘れてないですよね？｣
｢あ、うん！忘れてはないんだけど……まさか、二人が祝ってくれると思わなくて｣
｢失礼なヤツ｣
｢ほぼ考えたの俺ですけどね！｣
ドヤ、と私を見る二人に、思わず顔が綻んだ。
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碧葉(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！！そう言って頂けてとても嬉しいです！ (2021年8月13日 6時) (
レス) id: 3b7c38c624 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 見てて楽しかったです！更新頑張ってください！場地さんかこかわすぎ…でした… (2021年8月12日 20時) (レス) id: dda0942623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧葉 | 作成日時：2021年8月12日 17時
