初詣 ページ25
「さっむ……」
手を温めるために吐いた息が白く染まる。
ただ、初詣に来た人の熱気で神社は賑わっていた。
「ったく……アイツら、女子待たせるとかどういう神経してんのよ」
「まあ、あの二人だし……」
私の横で、凛ちゃんが足を鳴らし始めた時、二人の姿が見えた。
「すみません!遅れました!」
「……はよ。あー……ねみぃ」
「ねみぃ、じゃないっすよ場地さん……」
四人揃ったところで、境内に向かって歩き出す。
「あ、彩華鼻赤くなってんじゃん」
「え、ほんと?でも凛ちゃんもだよ?」
二人で笑いあっていると、鼻に何かが押し当てられた。
「え……?あ、あっつ!」
視線をやれば、場地くんの手に握られたホッカイロが私の鼻に当たっていた。
「場地くん、あの、熱い」
「……持っとけや」
「あ、ありがとう……?」
場地さんかっけぇ……と目を輝かせる松野くんに、あーヤダヤダ、というように場地くんを鋭い目で見つめる凛ちゃん。
そんなこんなで、やっと拝殿の前に着き四人で横に並ぶ。
松野くんが場地くんに作法を教えてる間に、私と凛ちゃんは一足先にお祈りを始めた。
一年間、健康に過ごせますように。
私の周りの人が、笑って過ごせますように。
ノルマの成績がとれますように。
場地くんが、テストで平均点をとれますように。
目を開けて会釈をしてから、凛ちゃんの方を見ると既に拝殿から出ていた。
「長かったね?」
「……まあね」
視界の端から二人が走ってくるのが見えた。
「おみくじ引きません!?」
「なんで無駄にテンション高いのよ」
「松野くん意外と乙女なとこあるよね」
「とっとと引こーぜー」
「うぇ、私凶なんだけど」
「私中吉だった」
「あ、オレ彩華さんとオソロっすね!中吉!場地さんは?」
「……大凶」
え、大凶ってほんとに出るんだ。
場地くんのおみくじを覗き込むと、"計画、難航す"と書いてあった。
これは、テストが上手くいかないっていうお告げかな……と、一人心を震わせた。
「……ほら、あれっすよ!!結べば良くなるんすよ!結びましょ!」
「私も結んでこよーっと」
場地くんから借りたホッカイロで手を暖めながら、凶組二人を待っていた。
「あの、彩華さん。ちょっと聞きたいことがあるんすけど」
「ん?」
「彩華さんって……」
「お待たせー!うぅ……寒い。早く帰ろ!」
松野くんの言葉が、戻ってきた凛ちゃんにかき消された。
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碧葉(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます!!そう言って頂けてとても嬉しいです! (2021年8月13日 6時) (レス) id: 3b7c38c624 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 見てて楽しかったです!更新頑張ってください!場地さんかこかわすぎ…でした… (2021年8月12日 20時) (レス) id: dda0942623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碧葉 | 作成日時:2021年8月12日 17時