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ふぅ……



今日は、久しぶりに一人で勉強している。

私以外誰もいない教室は、なんだかすごく久しぶりで、寂しく感じた。




「はぁ……」

本日何回目かのため息を吐く。
思いっきり体を伸ばして、そろそろ帰るかな、参考書を閉じてカバンを開けた時だった。


「お、やっと終わった」

「ぎゃあああ!!」

「んだよ、びびった…。急に叫ぶなよ」

「ば、場地くん、なんでいるの?」

「廊下通ったらお前見えたから、一緒に帰んねーかなって」


未だにバクバクしている心臓を押さえつけながら、帰る支度をする。

「おまたせっ!」


駆け寄った私の顔を場地くんはじいっと見つめてるくる。


「場地くん?どうかした?」

「お前、なんかあったろ」



ギクリ、とした。



「……い、いや、何も無いよー!」

「嘘つくな」


話すものか、と心に決めていたのに、ずいっと顔を近づけて真剣な目をした場地くんの圧に負けてしまう。

恐る恐る、私は口を開いた。





「……進路ォ?」

「うん」

分かんねぇ……と、場地くんは頭をガシガシと掻いた。


「お父さんが私に求めているものは分かってるんだけど、ね。私なんかが、医者になんかなれやしないって心のどっかで思ってるんだ……」


しばらく沈黙が続いた後、場地くんが唐突にそれを破った。


「確かにお前は、医者にはなれ無さそう」

自覚していたことだけど、やっぱり他人に言われると少し、堪える。



「でもお前、医者になんかならなくても先生になればいいじゃねーか」




「え……?」

「だって、教頭すら見離しかけてた俺にここまで勉強を教え続けてくれたのは彩華だけだったろ?そのおかげで、俺は今成績が伸びてるしな」





「お前、向いてるよ。先生」








場地くんの真っ直ぐな目が、嘘なんてついてないって物語ってる。


今まで、先生になるなんて考えてもみなかった。
確かに、誰かに教えるのは楽しいし、それで相手が理解してくれた時は何よりも喜びを感じる。



私は本当に、場地くんに救われてばかりだ。



「ありがとう、場地くん。なんか、元気出た」

「おう。お前がもし先生になったら俺に勉強教えてくれよな?」

「当たり前でしょ、なんなら教え子第一号だよ」


それもそうだな、と場地くんは笑った。



















「お父さん、お母さん。私……教師になりたい」




君がみつけてくれた夢は、諦めたりしないよ。

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碧葉(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます!!そう言って頂けてとても嬉しいです! (2021年8月13日 6時) (レス) id: 3b7c38c624 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 見てて楽しかったです!更新頑張ってください!場地さんかこかわすぎ…でした… (2021年8月12日 20時) (レス) id: dda0942623 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:碧葉 | 作成日時:2021年8月12日 17時

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