イメチェンにも程がある ページ12
四月。
私は二年生に進級し、凛ちゃんと同じクラスになることが出来た。
入学式から数日経ったある日、場地くんからメールが送られてきた。
『今日の放課後、二組な』
たったこれだけのメールでも、なんだか一年生の頃が懐かしい。
場地くんに会うのも久しぶりだなぁ、と、私は放課後になるのを今か今かと待っていた。
しかし不幸なことに、早速先生から雑用を押し付けられてしまった私はそれを片付けてから急いで場地くんの元へ向かった。
一年二組の教室を覗き込むも、場地くんらしき人は見当たらなくて、居たのはいかにもガリ勉って感じの男の子。
でも、その男の子の横に置いてある国語辞典には見覚えがある。確か、私が場地くんにあげた物のはずだ。
｢場、地くん……？｣
ダメ元で名前を呼んでみる。違ったら土下座して帰ろう。
｢あ、やっと来た。遅せぇよ彩華｣
｢場地くん？！？！｣
｢びっくりした…なんだよ。うるせぇからやめろって｣
｢あ、ごめん。ちょっと、いや、大分びっくりして｣
気崩していた制服は第1ボタンからネクタイまできちんと締め、無造作に下ろしていた髪の毛はひとつに括り、極めつけは瓶底メガネ。
｢あの……つかぬ事をお聞きしますが、なぜその格好を……？｣
｢もうダブれねぇんだよ。オフクロ、泣かせちまう。てか、さっきも同じこと聞かれたんだけど。これ変なのか？｣
｢い、いや、そういう訳じゃ無いけど…それより！場地くんって目、悪かったの？｣
｢あ？これ伊達｣
｢伊達メガネ？なんで……｣
｢メガネしてたら頭良くなるんじゃねえの？｣
だってほら、彩華もメガネしてるし。あまりにも真面目な顔で場地くんが続けるものだから、私は堪えきれずに吹き出した。
｢おい、何笑ってんだよ｣
｢ごめっ……場地くんって、ほんと……｣
｢ああ？｣
なんだよ、と詰め寄る場地くんから逃げながら話題を逸らす。
｢ほ、ほら、手紙！書くんでしょ？｣
｢手紙なら書き終わった｣
｢終わっ……え？｣
｢さっき良い奴がいてさ、そいつが手伝ってくれたんだよ｣
｢そうなの？じゃあ急いだ意味ないじゃん……｣
｢へぇ、俺のために急いだのかよ？｣
私の呟きをわざわざ拾って、にやにやと場地くんは笑う。
｢そうだけど？｣
少しムカついた私はそう言って反撃する。
ほんの少し睨み合って、今度は二人同時に吹き出した。
｢ペヤング、食って帰ろーぜ｣
｢半分こ、ね｣
いつの間にか教室は、橙色の光で包まれていた。
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碧葉(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！！そう言って頂けてとても嬉しいです！ (2021年8月13日 6時) (
レス) id: 3b7c38c624 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 見てて楽しかったです！更新頑張ってください！場地さんかこかわすぎ…でした… (2021年8月12日 20時) (レス) id: dda0942623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧葉 | 作成日時：2021年8月12日 17時
