ねぇ、だれにも知られないで ＜yb×hk＞

＊ ページ49

…



結局ヤオトメは何も言わず、
お米を私に押し付け、セーターを軽くたたみ
そっとお米に着せるようにかけた。



「自分の新居なんだから、自分でやりなよー」



私は”重い”、”箸より重い物は持てない”と
ブーブー、文句を言いながら
ずり落ちそうなお米を必死で食い止めた。


ヤオトメは黙って後ろから私の両肩を掴んで
ぐいぐい、ドアの中に押し入れようとする。





「…おれ、こんなだから、これから友達できるかわかんないし」





ヤオトメがなんとも気恥ずかしそうな小声でつぶやいた。



「…そういうことなら、薮も連れてきて一緒に入ろうかー？」



ヤオトメが手伝いを頼みたかった本当の理由を知った私は
おどけた提案ができるくらい気を良くしていた。



「…もうっ、いいから早く入ってっ！」



男の力で肩を押された私は盛大によろけて
気がついたら一歩、部屋の中に入っていた。


ヤオトメは乾いた短いため息を吐いて


「…やぶのことは、そういうのには頼んないから」


と、口を尖らせた。




結局、ヤオトメと薮のことは
いつだって神様も味方している、と私は思った。



その証拠に、私は背負っていたリュックから
銀色のあれを取り出し、ヤオトメに見えるよう突き出した。
ちゃんと、向きも、正しく。




「…あんた、薮にもチョコレートにも困らないみたいよ？」




ヤオトメは呆れたように目をつむりながら八重歯を見せた。




「…そんなとこで突っ立ってないで
あんたも早くこっち来なよ」




ヤオトメは、”結局神頼みしちゃったね”と
私達2人のことを小馬鹿にしたように笑いながら
トントン、と軽い靴音を鳴らして、





新しい場所に一歩、踏み出した。





(…急募、このハートもらってくれる人、)

―――――――――18歳の -引っ越し騒動- ―









…ということで！
ひかるくんの引越しも無事おわりましたので
この小説も続編に移行します！(^O^)／


いつの間にかお星様も山田さんカラーになり
皆様の応援のおかげで楽しく書かせていただいております＊



続編も変わらず、よろしくお願いいたします★★★



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊syocolu＊＊

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