【弱虫ペダル】じゃんけんに負けました。【黒田雪成】

４０ポン ページ42

自転車競技部の練習に来るのは初めてだった。




いつも、東堂先輩のファンとか新開先輩のファンとか、…雪ちゃんのファンとか。



そういう人たちが応援しに来てたから何となく近づきにくかったのだ。








「(んん、見えない…！！)」






思いっきりジャンプしても無駄なのが悲しい。




こうなったら練習終わりにタイミングを見計らって来ようかなぁと、諦めた時に誰かから肩を叩かれた。








東堂「よぉ、珍しいな。Aちゃん。」






本日何回目かの東堂先輩だ。


女の子の目が今ものすごい痛いので、できればこういう時に話しかけてほしくない。




でもまぁ、知り合いがいるなら話は早い。








「先輩、雪ちゃんどこですか？」


東堂「黒田ならたぶん今部室前で、「ありがとうございます！」あ！おい！…まぁいいか。」






東堂先輩の話を最後まで聞かないで走り出した。





早く雪ちゃんに会いたい。


会って謝りたい。




明日から気まずくなってしまうのなんて嫌だ。




雪ちゃんと話せない学校生活なんてつまらなくてつまらなくて。


箱根学園にいる意味がなくなってしまう。









「雪ちゃ……あっ、」






東堂先輩の言葉通り、確かに雪ちゃんは部室の前にいた。



いたけど、







黒田「えっ、マジで？」


女子「ほんとほんと。笑
でもたぶんねー…、」


黒田「ははっ、それいいな。笑」








嘘つき。


女の子と話すの苦手だって言ってたじゃん。




なんか、私の時より楽しそう。





やめてよ。


私みたいにその子の頭撫でたりしないでよ。






何にもできなくて、少し離れたところでぼーっとしてたら女の子の方が先に私に気づいた。



あ、この子隣のクラスで可愛いって噂になってる子だ。






女子「ねねっ、ユキくん。」


黒田「えっ？」









耳元でこそこそ見せつけるように話しちゃってさ。



あぁ、なんか今までこういう雪ちゃんの姿見たことなかったから。





なんだか泣いちゃいそうだ。

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