【弱虫ペダル】じゃんけんに負けました。【黒田雪成】

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黒田side





髪を耳にかける女子の仕草がたまらない。


と、前に話していたのは新開さんだったっけ。東堂さんだっけ。




練習終わりに何を馬鹿な話をしているんだと、荒北さんとスルーしていたが今なら何となく2人が言っていたことがわかる。







「(…なんか、色っぽいんだよな。)」





暑いと言いながら髪を耳にかけて、ヘアゴムを取り出したAの姿を盗み見ながらくだらないことを考えてた。




Aは学年の中でもそこそこ可愛いほうで。


1年の時からモテたくせに、男子とあんまり喋らないからそれに気づいていない。




本人曰く、人見知りらしい。




だけどまぁ見た目が多少良くたって、性格がバカでガキだからな。


愛嬌があると言えばそうなのかもしれないけど、子供っぽいと言えばそうなる。







「(…まぁ、俺はそういうほうが好きだけど。)」





変に着飾ってる奴らより、よっぽどいい。









A「雪ちゃんその席眩しくない？」


「あぁ、すっげぇ眩しい。」





シルエットとして、長い髪をゆらすAが笑う。





A「あとちょっとで終わるから待ってね！」







恋愛対象として見てみる、なんて無理に決まってるだろ。と内心思っていたけど。




A「ふわぁ、」






…その気になればけっこういけるかもしれない。




なんて思ったら俺は、たぶん夕陽のせいでAがいつもの数倍可愛く見えたからだろう。


あれだよ、フィルター効果だ。








「A、」


A「ん？」


「……、」


A「えっ？なに？」


「…やっぱ何でもねぇ。」





何となく呼びたくなっただけ。


なんてまるでカップルじゃねぇか。






A「え！気になる！」


「うるせぇ。また司書の人に注意されんぞ。」


A「…もう。…でも雪ちゃん何だか機嫌良いね。」


「…べつに。」







思っていたより勉強は捗るし、図書室の静かな雰囲気も悪くない。



だんだん濃くなっていくオレンジをAのバックにして見ていた。

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