あそこのカフェはケーキが美味しいらしい。【新開隼人】

エッグタルト* ページ40

Aside






『会いたいよ。』口から勝手にでた言葉に新開くんは、電話越しで少し嬉しそうに笑った。




新開『…やっぱ適わないな、Aさんには。笑
来週行くから、それまでいい子で待ってて。』







何かあったのかと思ったけど、普段と変わらない声のトーンで安心した。


子供扱いされたみたいだけど、実際新開くんのほうが大人なんだからべつにいっか。




来週どんな顔をして会えば良いのかわかんなかったけど、行くから。って言ってくれた彼の言葉が嬉しくて。



さっきまでの気分が嘘のように晴れた。









新開「久しぶり。笑」






長すぎるぐらいの１週間が終わって、新開くんはいつものように同じ時間にお店に来た。



１ヶ月会えなかっただけで、泣きそうになるなんて。




おかしいね、私。







新開「そんな顔すんなって。笑」




ポンポンって頭を撫でてから、いつもの席に座った。


あぁ、伝えたいことが多すぎてうまく口が開かない。






新開「俺が来なくて寂しかった？笑」


「…何でいきなり来なくなっちゃったの？」


新開「ちょっといろいろ考えたくてさ、」


「…そっか。」


新開「じゃあいつものケーキとコーヒー、よろしく。」


「うん。」






ニコッと笑った彼につられて、思わず口元を緩める。


ふわふわしたこの感覚が、嬉しくてなのか苦しくてなのかはよくわからない。







「どーぞ。」


新開「おっ、いただきまーす。」


「どう？」


新開「うまい。やっぱ俺、Aさんのケーキがないと生きていけないぜ。笑」





いつもの冗談混じりな言葉が嬉しくて、ありがとう。っていおうとしたら、それを遮るように新開くんは言葉を続けた。






新開「だからさ、そろそろ返事もらってもいい？」


「えっ。」


新開「いつでもいいって言ったけど、そろそろ限界。」





私は何て答えるべきなんだろう。


私の返事を聞く前に、新開くんは「俺さ、」って言って話し始めた。

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