あそこのカフェはケーキが美味しいらしい。【新開隼人】

プラリネ* ページ29

A「いい先輩なの。悪気はないと思うから…ごめんね？」





なんてAさんに言われたけど、俺は笑顔で首を横にふった。


なんとなく、ひきつってたような気がしなくもねぇけど。




そりゃあ好きな人の弟扱いされたら誰だってムカつくだろ。



年下だからって特に気にしないってAさんも言ってたし。




けど、そんな思いを顔にだしたらますます子供っぽくなるしこれ以上ガキ扱いされたくない。





「俺は気にしてないよ。それより、」


A「？それより？」


「…なんでもない。笑」







ちゃんと『大人』だったAさんの姿に驚いたよ。



俺を見て笑う顔は無邪気で、少し幼いのに。




Aさんはやっぱり俺より大人だった。





そんなことを思う時点で、俺はやっぱり子供で。



Aさんに言えるわけもなくテキトーにごまかした。







「疲れてるのにごめんな。」


A「ううん。どうせ今日は午後から暇だったし平気だよ。
新開くんこそ、箱学からここ遠いのにごめんね。」


「ロードで来るとすぐだから大丈夫。
はやくAさんに会いたかったし。」


A「ありがと。笑」






余裕な顔も綺麗だと思うけど、あんまり俺は好きじゃない。



俺の知らない顔だから。









A「でも私ちゃんと教えられるかなぁ。あんまり役に立たなかったらごめんね。笑」


「俺よりは頭いいって。」


A「そうだといいけど。笑」





含み笑いっつーのかな。


わかんねぇけど。




そんなこと考えてもガキには理解できないか。







A「寒いっ、」




あざ笑うように吹いた風にAさんは少し大げさに身体震わせて。


チラッと横目で俺を見た。





「…繋ぐ？笑」


A「いいの？」


「むしろお願いします。」


A「じゃあ繋ぐ。笑」





ほんっと、ころころ表情が変わるんだから。


これだから掴めねぇんだよ。





「あったかい？」


A「うん。新開くんは？」


「…あったかいよ。」




あったかくて、どうにかなっちまいそうなぐらい。

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