急募:魔界での安全な暮らし方【魔入間】 (ページ2)

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安全な暮らし1 ページ2

皆さ〜ん、こ〜んに〜ちは〜っ！

今私はどこにいるでしょーか！

〈聖奈を探せ！〉

5、4、3、2、1

こっこでーす、こっこ、こっこ！ここにいまーす！

正解は！

『え、本当にどこ…？』

盛大な1人茶番劇をやってｽﾝｯとなる。

誰か教えてくれ、私に。

教会でよく分からんお祈りして帰ってきてる道中から記憶が無い。

空を見上げると月が2つある。

『ん…？月が2つある…だと？』

普通ではありえない光景に目が点になる。
周りを見渡せば木、木、木。

『もしかしなくてもさぁ、此処異世界よね？』

好きを探そうと言われ、散々見せられたアニメの中と似たような光景に嫌でも認識させられる。

『これが噂の異世界転生…いや、死んでないから転生ではないか』

不安を紛らわすために喋り続ける。
当たり前だろう。気づいたら異世界にいるし、人っ子一人いないし、持ち物は何も無いし散々だ。

襲い来る孤独感に感情が支配される。

『怖い…よぉ。誰か、助けて…』

その時。

ぐぅぉおおおおおおおお！

恐ろしい獣の声が聞こえた。

振り返ると茂みがガサガサと揺れ、そこから三つ目で通常の3倍ぐらい大きなクマか出てきた。

『ﾋｯ、いやああああああああ！！！』

思わず叫んでしまった。
こんなのを見てマトモな精神状態でいられる人はいないだろう。

クマはヨダレを垂らしてこちらに這い寄ってくる。
思わず背を向けて逃げてしまった。

『無理無理無理無理無理！！あんなんとまともにやれるか！！クマに背を向けて走っちゃいけませんって言うけど絶対無理だって！死んじゃうって！！』

ここで死んでられるか！帰宅部なのに50m走7秒台舐めるなよ！

必死に走り後ろを少し見ると猛スピードでクマが追いかけてきていた。

慌てて前を向くとその先に誰かの家があった。申し訳ないが助けてもらおう。

スタミナがほぼなくなりそうな時と同時に門の中にお邪魔する。すみません、今緊急事態なんです！！

『すみせん、助けてください！誰か！！』

すると、ガウゥ！という声と共にクマの爪が私の背中を引き裂いた。

『ｶﾊｯ……』

あまりの痛みで眩む視界の最後に慌てたように走りよってくる赤い姿が見えた。