I need you！ vol.2 (ページ28)

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Oh！Please！ Ⅲ Y ページ28

またマネージャーと太輔に叱られた。

いくつなんだよ、いい加減にアイドル稼業に慣れろよと。要らないこと言っては叱られて、ファンをやきもきさせて。

一度きりの人生なんだから、嘘ついて生きたくない。
だけどメンバーやスタッフさんに迷惑かけたくない。

他のメンバーは何も言わない。
ただ、雑誌の取材やブログで遠回しに慰める。

『身体も精神も脆くなってくるから、お互い気をつけて。』
『俺たちは丁度いい距離感。無駄に詮索もせず、仲良すぎず。』
『７人でいることが大事。』

横尾さんも一緒にいなきゃダメだよ？
きっとそう言っている。

前にも宮田に相談していたのは、アイドルとしての生き方。
時代は変わった。昔の秘密だらけの芸能界から、今は有名人が自分を発信していく時代になった。
俺は、アイドルもそうしていい時代なんじゃないかと思う。

『俊くんは凄い。正直に好きなことを好きと言い続けて…。』
『本当？でも嘘もつくよ？一生アイドルやるからね。』
『一生嘘つけんの？』

宮田は苦笑してみせた。

『ん〜、つきたくはないけど…最小限ね？』
『俺、無理かも…。』

楽屋でおにぎりを齧りながら、俺の目を見てくる。

『ほんと真っ直ぐだよね、横尾さん…。
たださ〜アイドルって、応援してくれる人たちや関係者の生き方さえ変えてしまう力あるじゃない？言動は細心の注意を払わないと。』
『でも裕太とのことは？』
『俺たちだって絶対叶わない夢はあるよ？ここまで見せられるようになったのは、ひとえにタマの演出のおかげ。』

裕太は、宮田との関係をショーにすることで、力づくでファンを納得させ、時間を掛けてその賭けにゆっくり勝ち進んできた。
その代わり、アイドルにも全力を尽くす。それが彼らのルール。

俺はどうだ？
俺は今、ドロップアウトしてまで正直に生きるべきなのか？
ただ一度きりの人生を、どうやって生きればいいのだろう。

落ち込んだまま取材を受けていると、ふと北山と目が合った。
いつものように俺のことを頑張っていると褒めてくれている。

北山は真っ直ぐに俺を見据えながら、更にはっきりと強い口調で言葉を継いだ。

『…だから、横尾さんはいなきゃいけない人なんです。』

メンバーも全員頷いた。

…ああ、それが答えなら俺はココにいる。
不器用な俺だから、まだまだこの生き方に苦しむはずだと知りながらも。

俺がいなければいけないこの場所を選び続けよう。
また時代が変わるその日まで。

fin.